目の動きから性格を読み取る事ができるAI

オーストラリア大学らの研究チームは、機械学習を用いることで目の動きから性格を推測することに成功したと発表しました。研究では学生42名の目の動きをAIで追跡・解析しましたが、そこには大変興味深い相関関係が見い出されました。この技術は、将来的にヒューマン・マシン・インタラクション分野への応用が期待されています。

目次
1.AIが人の目の動きからその性格を読み取る
2.ビッグファイブの人格特性指標を活用
3企業と消費者のコミュニケーション変革がが可能に?

 

AIが人の目の動きからその性格を読み取る

「目は心の窓」という言葉があります

人間は、視線の動きから相手の考えていることや感情をある程度読むことができると言われてきましたが、こういった非言語的な活動を読み解くのは、微細な動きの違いも捉えて分析できるAIの得意分野とされています。

これまでにも、表情から感情を判定したり、カメラ映像から犯罪を予測したりといった分析にAIが用いられてきましたが、 目の動きと性格因子の間につながりを見出す最先端の機械学習アルゴリズムによって、その言葉が正しかったことが証明されるかもしれません。

南オーストラリア大学で神経心理学を研究しているトビアス・レッチェル氏らの研究チームは、目の動きをAIに分析させることで、相手の性格を推測できるとする研究結果を発表しました。

研究チームは、SensorMotoric Instrumentsによる動画ベースのアイトラッキング技術を使って参加者42人の目の動きをトラッキングし、通常の性格診断に用いられるビッグファイブという質問表の回答結果と合わせて検証しました。

ビッグファイブの人格特性指標を活用

ビッグファイブとは、ゴールドバーグ,L.R.が提唱したパーソナリティの特性論です。「人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成される」とするもので、心理学の研究で一般的に用いられる人格特性指標です。

「神経症傾向(N)」「外向性(E)」「経験への開放性(O)」「協調性(A)」「誠実性(C)といういう5因子からな構成されますが、目の動きをトラッキングすることで、これらの割合が明らかになると言います。

 

好奇心を抱いている(開放性)、思いやりを抱いている(協調性)…といった心理状態と眼球運動パターンを目の動きを収集して機械学習に分析させ、質問紙法による人格特性の判定結果と照合させました。

その結果、(開放性・誠実性・外向性・調和性・神経症的傾向)という「ビッグファイブ(特性5因子)」の中から、AIは4つの因子(神経症的傾向・外向性・調和性・誠実性)を確実性をもって推測することができたといいます。

 

この調査では面白いことに、研究調査では同じ特徴を持つ人々は眼球の動きにも同じような傾向があり、例えば、ポジティブ思考の人たちはネガティブな感情を呼び起こすようなものを見る回数が少なかったり、一方で、好奇心旺盛な人たちは視界の全てに注意を払うような動きが見られました。

 

以下は目の動きに関連する性格特性の一部とされています。

・見回す動きが多い:好奇心旺盛
・抽象的イメージを長く見つめる:オープンマインド
・瞬きが速い:神経症的
・横方向に目を動かす:変化や新しい経験が好き
・瞳孔の変化が大きい:誠実
・ネガティブな感情を引き起こすものを見る時間が短い:楽観的

なお、この研究は、実験室のなかの厳密に管理された環境下ではなく、日常生活での自然な眼球運動を追跡している点でも信頼が置けます。

こういった日常生活における目の動きのみによってこうした性格特性を推測したのは、初の事例であるといいいます。

企業と消費者のコミュニケーション変革が可能に?

情報過多な社会の中で、人々は常に、パーソナライズされた優れたサービスを求めていますが、現在のAIやコンピュータは意識を備えていないため、言葉以外のコミュニケーションに対応することは難しいとされています。

Tobias Loetscher博士によると、この研究の最終目標はそうした人とマシン間のインタラクションを未来に向けて改善する事にあると言い、将来的に人間とロボットがより円滑にコミュニケーションをとるためには必須な技術になると見立てています。

この技術がより高い精度で実現できるようになれば、バーチャルアシスタントのようなものに、ユーザーの気分や人格を読み取らせることが可能になるかもしれません。

この研究は、より自然で人の社会的シグナルをより良く理解できるロボットやコンピュータを開発するための良い機会になるのではないでしょうか?