カオスと呼ばれる複雑な世界を「機械学習」で予測する

 

気象などの自然現象を完璧に予想することは不可能であることがカオス理論によって知られており、中でも「蝶が羽ばたいたというわずかな影響によって状態が大きく変わり得る」というバタフライ効果なども有名です。しかし、そのカオスと呼ばれる複雑な世界を「機械学習」で正確に予測する研究が進められ、際立った予測精度を実現しています。

カオス理論とは?

気象などの自然現象を完璧に予想することは不可能であることがカオス理論によって知られており、中でも「バタフライ効果」などは有名でしょう。バタフライ効果とは「北京の一匹の蝶の羽ばたきが原因で翌日ニューヨークに嵐が起きるかもしれない可能性がある」といった条件の僅かな違いで全く違う結果になるかも知れない可能性がある、という事です。

カオスは予測がかなり難しいものではありますが、予測できないわけではないという点では量子力学的な現象とは本質的に違います。原理的には予測できるものだけど、実際には予測が難しいという現象がカオス理論です。

それ専用に作られた方程式があります。理論的には、必要な全てのデータをもれなく完全な精度でこの方程式に入力すれば無限先未来まで正確に予測できる…、というハズなんですが、現実には得られるデータは限られていて、得らたデータの精度にも誤差があるります。天気予報がハズレることがあるのはこのためだと考えられています。

しかし、近年、そのカオスと呼ばれる複雑な世界を「機械学習」で正確に予測するという研究が進められ、際立った予測精度を実現する研究も報告されるようになりました。

機械学習を用いてカオス状態を学習させる

雑誌Physical Review Letters and Chaosに掲載された一連の結果の中で、科学者たちは機械学習 – 人工知能における最近の成功の背後にある同じ計算手法 – を使ってカオスシステムの驚くべき遠方への進化を予測しました。このアプローチは、画期的なものとして外部の専門家によって称賛されており、幅広い用途が見つかる可能性があります。
https://www.quantamagazine.org/machine-learnings-amazing-ability-to-predict-chaos-20180418/

この研究はベテランのカオス理論家エドワードオットとメリーランド大学の4人の共同研究者によって行われ、研究ではリザーバーコンピューティング(reservoir computing)と呼ばれる機械学習アルゴリズムを用いて、Sivashinsky方程式と呼ばれる典型的なカオス状態を学習させました。

これがモデル化されると、例えば、天気予報の過去のデータを収集する必要はなくなるかもしれません。すべてモデル化された気象モデルを利用するだけで、予測することが可能になるかもしれないのです。

オット博士は機械学習の過程を大きく3つの手順に分けて説明しました。

例えば、上記のような火の燃え広がり方というカオスを予測する例では、まず最初に炎が燃え進む境界に沿って異なる5つの場所の高さを計測し続けます。そしてこのデータはランダムに選択された人工ニューロンに送られます。入力データはニューロンを発火させ、接続されたニューロンを順番にトリガし、ネットワーク全体に一連の信号を送ります。

第2のステップでは、入力データから燃え広がる炎の境界の動きをニューラルネットワークに学習させる作業が行われ、5つの異なる方法で信号を重みづけして結合した5つの数値を出力し、これら5つの数値が一致するまで重みを調整し続けます。

そして第3のステップで、炎の動きを学習したreservoirによって実際に予測を行うとのことです。

この予測モデルは、他にも不整脈のパターンから心臓発作になる可能性を見つけ、脳内のニューロンの発火パターンをニューロンスパイクの兆候を監視するのに役立てることができるのではないかと期待されています。また、将来的には、私たちを危険にさらす地震の予測にも役立つかもしれません。