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第3次AIブームとは?

第3次AIブームとは?

第三次AIブームとは, 2000年代初頭ディープラーニングの登場に端を発する人工知能技術の社会的ブームを指します. 2006年にコンピュータ科学と認知心理学の研究者であるジェフリー・ヒントンらにより発明されたディープラーニングは, 自ら学習する推論モデルとして話題を集め, 現在に至るまでその社会実装を通して波及し続けています. ここではその第三次AIブームに至るまでの技術動向を概観します.  

第一次AIブーム (1950年代 ~ 1960年代)

第一次ブームは、1960年代に起こった「推論と探索」を行うプログラムに関するブームです。

驚くべきことにAIはこの時点で、パズルや迷路を解いたり、単純な数学の定理を証明をしたり、チェスを指したりといった知的な活動を行えるようになっています。ただし、かなり限定的な条件でのみしか適用できず、(一般的には)実用化には至っていません。

迷路を解く例でみてみましょう。

初めて迷路をするとき、機械はそこまで賢くありませんから、とりあえずしらみつぶしに可能な道のりのパターンを試していきます。こうしてどんな選択肢があるのか全部調べていく過程を「探索」と呼びます。

しかしそれだけでは「人工知能(AI)」とは到底よべません。当時のAIではこれに加え、目的である ”ゴール” するためのルートを予測することもしていてこれを「推論」と言います。

当時のAIは、この「推論と探索」を組み合わせることにより、迷路を解く際にしらみつぶしに選択肢を探索してゴールにたどり着く方法を見つけたり、チェスでなるべく自分が有利になるようなコマの置き方を選んでいくということをしていました。

しかし、これはあくまで適用範囲はルールとゴールがはっきり決まっている問題の話に限られました。ルールやゴールが複雑で曖昧な現実世界ではほとんど役に立ちませんでした。つまりチェスやオセロではコマを置くパターンは限られていて、相手の打ち手も数えられる程度しかありません。一方で例えば車の運転であれば、その道のりは子供のやる迷路の何倍も道のりは存在し、ハンドルの切り方も千差万別で目的地にたどり着ける方法も無数に存在します。つまりこれを機械にやらせようとすると、全てのパターンを計算する時、その計算量が爆発的に増えてしまします。

こうして第一次AIブームは計算を効率化する理論面の不足コンピュータの技術的処理能力の不足により終焉を迎えます。

とはいえ、今から50年前にこれがあったと思うと感心しますね。もちろん、当時の人たちにとっても驚きであったようで、この時点ですでに現在行われている「物体認識」や「物語の理解」などを試みる研究も存在していました。

 第二次AIブーム (1980年代 ~ 1990年代)

 

そして20年ほど時を経て、第二次AIブームが到来します。これは初めてのWEBページが登場した1990年より前の話です。

第二次AIブームでは ”知識” を記憶し保存することでルールの存在しない現実問題を対処する「エキスパートシステム」と呼ばれる仕組みが登場しました

これはその名の通り、ある分野のエキスパート(専門家)の知識をコンピュータに保存してそれに基づいて推論を行うというものです。すなわち、第二次AIブームの特徴は「知識表現」と言えます。

しかしながら、このシステムは自ら必要な学習を行うことができず、これまでのパターンをそのまま再現しているにすぎないのでした。しかも、専門家の知識を引き出し、ひたすらコンピュータに入力して行く作業は人間が手作業で行う必要がありました。

また、例えば生産工場の現場などでは、知識よりも長年の経験や勘などが頼りにされることが多く、それらをコンピュータに記憶させるようにルール化することは容易でありませんでした。そうして作られたシステムは果たして労力に見合うだけの価値があるのかという疑問があり、エキスパートシステムの実用化はいくつかあったものの、イノベーションを起こすには至りませんでした。

当時エキスパートシステムの実用化としては、電車の経路探索やエレベータの制御と行ったプログラムがありました。

第三次AIブーム (2006年 ~ 現在)

第二次AIブームから約30年程経過した2000年台、第三次AIブームにしていよいよディープラーニングの登場です。ディープラーニングは日本語で「深層学習」と訳されました。

AIとは、データから特徴を分析し、経験則的に高い精度で予測・分類を行うことができるプログラム機能と言った表現を私は使います。

ディープラーニングは、2006年にコンピュータ科学と認知心理学の研究者であるジェフリー・ヒントンらにより発明されました。入力データから自ら特徴を判別し、特定の知識やパターンを覚えさせることなく学習して行くことができるディープラーニングは、これまでの ”AI” と呼ばれる計算システムとは一線を画すものでした。

ディープラーニングの仕組みは、今後順を追って紹介していきますが、名前の通り非常に深い計算を行うことで機械が自ら “どのような行動を行うべきか” を学習することができます

例えば、画像認識であれば、犬とはどのようなものかを繰り返し答え、正解と比較し復習することでどのような特徴を持っている画像が犬かを自ら学習し、次に見た画像が犬の特徴を持っているかどうかを判別することができます。

補足  どうやって画像を”計算”するの?

画像や音声は、全て数値のデータに変換することができます。よって、コンピュータの計算能力と理論的効率性がしっかりしていれば、画像を数値データに変換し、特徴を分析した後にもう一度画像に直す事は難しくはありません。また、現代のコンピュータはそのようにして、計算を行なっています。

有名なGoogleの画像認識や、将棋プロジェクト、IBMのWatsonなどなど、ディープラーニングを活用した事例が一気に台頭し、現代社会におけるイノベイティブなブームを呼び起こしています。

今後も、このディープラーニングを基礎として、様々な形で自動化や実用的技術化が進んで行くでしょう。

本節ではAIブームの歴史を紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 今後は、我々の生きるこの第三次ブームの現代において、どのようにAIを理解し、どのようにAIと付き合っていくかが重要でしょう。次節では、どのようにAIが現代において ”実用化” されているかを例をあげながらみていきます。

ただ「AIに仕事が奪われるかも・・・」と恐怖を感じるのではなく、テクノロジーが発展して行く中でしっかりと勉強をし、自身がどのように活躍できるかを考えていきましょう。AI-SCHOLARはあなたの AI学習を応援します。

 

 

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