機械学習を用いて薬の服用を辞めそうな人を予測。介入処方を最適化

インドでは毎年数万人が結核により命を落としていますが、結核の罹患率は、薬物療法を遵守しないことによって引き起こされると考えられています。そこで、本研究では、薬の服用を辞めそうな人の予測モデル(RF、LSTM)を構築して介入行動を行いました。論文では、以下の3つの異なる臨床シナリオを作り、それをどのように適応させることで患者のケアをより適切に改善できるか示されています。

論文:Learning to Prescribe Interventions for Tuberculosis Patientsusing Digital Adherence Data

結核は、世界の死因トップ10の1つ

インドでは毎年数万人が結核により命を落としています。しかし、結核はほとんどの場合、治療可能、または予防可能な病気で、結核の罹患率は、薬物療法を遵守しないことによって引き起こされると考えられています。結核を予防、治療するには、患者に薬の摂取を遵守させることが重要なのです。そこで、現在インドでは、WHOのDATS(直接観察治療法)に基づき、医療従事者に直接観察、確認させ、患者が必要な薬の摂取するように促すシステムを取り入れてます。

▶︎DOTS(直視監視下短期化学療法)とは

DOTS(直視監視下短期化学療法)とは,結核患者を見つけて治すために利用されている、WHOが打ち出した結核対策戦略です。服薬を直接確認システムを導入することによって治癒率を上げることができるという事例から、1995年に「効果的な結核対策のための枠組み」として名づけられました。

99DOTS(インドのある地域において電話通話ベースのDATがサービスを提供している機関)に登録されている患者は以下の一般的なガイドラインに従って介入を受けます。

1、患者が午後までに薬を飲まなかった場合、医療従事者はテキストメッセージのリマインダーを受け取る。
2、それでも患者がしばらくしても薬を飲まない場合は、医療従事者は患者に直接電話をかける。
3、患者が単純にいくつかの数の後にこれらの以前の介入に応答しない数日、彼らは個人的に医療従事者によって訪問される。

しかし、これらの上記の介入方法では、人員不足が蔓延してしまい、また、財政的負担も大きすぎます。

そこで、著者らは、インドの結核治療のために配備された99DOTSからデータを分析し、介入のターゲットの優先順位付けに役立つモデルを開発しました。

介入最適化のための手順

本研究では、耐性菌の発症を抑えるため、薬の服用を辞めそうな人の予測モデルを構築して介入行動を行いました。論文では、以下の3つの異なる臨床シナリオを作り、それをどのように適応させることで患者ケアをより適切に改善できるか示されています。

①毎日の非遵守リスクのモデリング

②治療の成功を予測する

③意思決定に焦点を当てた学習

①まず、現在介入が検討されていない患者の、次の週の非遵守のリスクを予測しました。予測モデルは、ランダムフォレスト、LSTMを使用し構築します。これにより、非厳守高リスク患者の発見数が21%から76%に増加しました。

②非厳守のリスクだけではなく、治療の最終的な成功を予測するために6か月後の最終結果を予測します。予測モデルには上記と同じ、ランダムフォレスト、LSTMを使います。
このモデルは、保健担当者が地域の結核治療計画を改善したり、追加の医療従事者の配置や雇用など、市全体の治療成績目標を達成するために用いることができ、ベースラインの方法を使用した場合よりも40%近くコストが削減されたとのこと。より少ないコストで市全体の処置結果ゴールを達成できるようになりました。

③どの患者に介入することで最も利益を得るかを予測しながら介入のバランスを取る必要があります。そこで、特定の介入に対する意思決定支援を提供するために特化された予測モデルを構築しました。前の二つの介入モデルでは、「悲厳守リスク予測」と「介入行動」がそれぞれ別のモジュールとして学習されていましたが、介入の結果を微分可能にすることで、ENDーto endな学習器を構築しました。このモデルを適用した意思決定問題の例で15%優れたソリューション提供ができたとのこと。

肥満防止や自殺防止にも応用可能

本提案により、非厳守のリスク、最終的な成功を予測し、経費を最小限にしながら介入治療が行えるようになりました。ここで提示する学習アプローチは汎用的で、結核、HIV、糖尿病、心臓病、などの薬物処方計画においても適用可能かもしれません。また、子供の肥満防止、や自殺防止のための介入戦略にも活用が検討されているとのこと。