太陽の裏側の磁場映像をcGANs(pix2pix)で生成することに成功

韓国の研究グループが、現在の太陽探査機や観測技術では把握できなかった太陽の側面と背面の磁場映像をGANを用いることで生成することに成功しました。太陽裏面の磁場活動を把握する技術が開発されたのは初めてだそうで、この研究成果は学術誌「ネイチャー天文学」のオンライン版にも掲載されています。

〔論文〕Solar farside magnetograms from deep learning analysis of STEREO/EUVI data

現在の太陽探査機では、太陽の背面を把握することができない

電子技術が発達し宇宙開発が加速するなか、トラブル回避のため、太陽の活動や宇宙の状況を正確に示した情報の重要性が高まっています。なかでも特に重要なデータのひとつが、太陽の磁場の映像データです。回転する太陽の側面状況を事前に知るというのは、宇宙天気擾乱予測において重要な情報です。

しかし、現在運営中の太陽探査機や観測機器では、太陽の側面と背面の磁場映像を把握することができません。情報の正確性を高めるためには、裏側の状況も知る必要があります。

NASAでは太陽の裏面を観測するために、「ステレオ」(STEREO)という観測衛星を2台送っていますが、それらの衛星にはHMIが搭載されておらず、太陽の裏面の磁場映像は見ることができません。裏側局所的な太陽地形から構築することは可能ですが、その品質は前面の磁場よりも低いとのこと。

そこで、韓国の研究チームは条件付き生成敵対ネットワーク(cGAN)に基づくディープラーニングモデルを使用して、裏側の磁場映像を生成する新しい技術を開発しました。

pix2pixでペア学習、背面映像を生成

研究チームは、太陽面と背面の磁場映像を生成するために、「条件付生成的敵対ニューラルネットワーク(conditional generative adversarial networks、cGANs)」モデルに注目しました。その中でも、Aの映像とBの映像をペアで学習させてAの映像を条件としてB映像を生成するpix2pixモデルを取り入れました。

9月と10月を除く 2011年から2017年までの間にSSDO衛星の映像セットで撮影された、AIAセンサー映像とHMIセンサー映像をペアで学習させた後、AIAセンサーと同じ特性を持つSTEREO衛星の極紫外線画像(EUVI)センサーを映像を条件として入力し、9月と10月の光学映像825個に対しGANに磁場映像を生成させました。

複数のタイムゾーンの前面磁場映像とAIが生成された磁場の映像を分析した結果、太陽黒点は97%の一致度を示したとのこと。ヘール模様のついた活発な地方がよく複製されて、これらはSDO/HMI映像と類似してるといいます。

しかし太陽磁場の極性はサイクルごとに反転します。このモデルは24番目の太陽周期で訓練されているので、偶数太陽周期に対して有効ですが、奇数周期に対しては試験が必要とのこと。 2つの磁場映像を注意深く比較すると、先行する黒点とそれに続く黒点との間の傾斜角が常に正しく生成されるわけではないことがわかります。これが、この方法の限界だとも述べられています。