目は心の窓・・機械学習を用いて、眼球運動から性格特性を予測することが可能に

オーストラリア大学らの研究チームは、機械学習を用いることで目の動きから性格を推測することに成功したと発表しています。研究では学生42名の目の動きをアイトラッキングし機械学習で分析しビックファイブという心理学の指標に照らし合わせたとのこと。そこには大変興味深い相関関係が見い出されました。

論文:Eye Movements During Everyday Behavior Predict Personality Traits

目の動きは私たちの周りの世界からの視覚情報の効率的なサンプリングを容易にします。

例えば、日常的な社会的相互作用では、私たちは、目がどのように動くかによって、他人の行動や感情状態を理解、予測、説明することがよくあります(Emery、2000)。眼球運動が制御される正確なメカニズム、およびそれに影響を及ぼし得る要因の範囲は、心理学や社会科学からコンピュータサイエンスまで、幅広い分野で現在関心が持たれています。

これまでも、性格特性と眼球運動の関係を報告している研究はいくつかあり、性格特性と眼球運動の関係を報告している研究は、似たような特性を持つ人々が同じように目を動かす傾向があることを示唆しています。

しかしこれらの研究は、実験室条件への制限があり、画像、アニメーション、雑学質問など、コンピュータ画面に対する眼球運動はに限定されてました。しかしながら、実際的な応用のためには、日常生活における眼球運動が性格特性とどう関係してくるのかが重要です。

南オーストラリア大学で神経心理学を研究しているトビアス・レッチェル氏らの研究チームは、日常生活における目の動きを機会学習に分析させることで、相手の性格を推測できるとする研究結果を発表しました。

研究には、SensorMotoric Instrumentsによる動画ベースのアイトラッキング技術を使っています。参加者42人にそれぞれ、視線追跡ヘッドセットを着用してもらい、店を訪問して何かを購入するために送り出されている間の目の動きを記録しました。そして機械学習を使用し、アイトラッキングソフトウェアによって記録された動画データを分析させ、通常の性格診断に用いられるビッグファイブという心理学で用いられる質問表の回答結果と合わせて検証しました。各特性のパーソナリティスコアは3つのスコア範囲(低、中、高)に個別に分類します。

ビッグファイブの人格特性指標を活用

ビッグファイブとは、ゴールドバーグ,L.R.が提唱したパーソナリティの特性論です。「人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成される」とするもので、心理学の研究で一般的に用いられる人格特性指標です。

「神経症傾向(N)」「外向性(E)」「経験への開放性(O)」「協調性(A)」「誠実性(C)といういう5因子からな構成されますが、目の動きをトラッキングすることで、これらの割合が明らかになると言います。

好奇心を抱いている(開放性)、思いやりを抱いている(協調性)…といった心理状態と眼球運動パターンを目の動きを収集して機械学習に分析させ、質問紙法による人格特性の判定結果と照合させました。

その結果、(開放性・誠実性・外向性・調和性・神経症的傾向)という「ビッグファイブ(特性5因子)」の中から、AIは4つの因子(神経症的傾向・外向性・調和性・誠実性)を確実性をもって推測することができたといいます。

この調査では面白いことに、研究調査では同じ特徴を持つ人々は眼球の動きにも同じような傾向があり、例えば、ポジティブ思考の人たちはネガティブな感情を呼び起こすようなものを見る回数が少なかったり、一方で、好奇心旺盛な人たちは視界の全てに注意を払うような動きが見られました。

以下は目の動きに関連する性格特性の一部とされています。

・見回す動きが多い:好奇心旺盛
・抽象的イメージを長く見つめる:オープンマインド
・瞬きが速い:神経症的
・横方向に目を動かす:変化や新しい経験が好き
・瞳孔の変化が大きい:誠実
・ネガティブな感情を引き起こすものを見る時間が短い:楽観的

なお、この研究は、実験室のなかの厳密に管理された環境下ではなく、日常生活での自然な眼球運動を追跡している点でも信頼が置けます。こういった日常生活における目の動きのみによってこうした性格特性を推測したのは、初の事例であるといいいます。

企業と消費者のコミュニケーション変革が可能に?

情報過多な社会の中で、人々は常に、パーソナライズされた優れたサービスを求めていますが、現在のAIやコンピュータは意識を備えていないため、言葉以外のコミュニケーションに対応することは難しいとされています。

Tobias Loetscher博士によると、この研究の最終目標はそうした人とマシン間のインタラクションを未来に向けて改善する事にあるとのこと。人間の社会的信号の自動認識は、人間とロボットがより円滑にコミュニケーションをとるためには必須な技術になると見立てています。この技術がより高い精度で実現できるようになれば、バーチャルアシスタントのようなものに、ユーザーの気分や人格を読み取らせることが可能になるかもしれません。