機械学習により関節炎のパターンをグルーピング。疾患予後を予測可能に

子供の関節炎の治療には、患者をよりよく分類し、疾患の経過を予測する必要があります。しかし、現在の関節炎の分類システムは現場レベルにおいてあまり有効ではないとのこと。今回の研究では、機械学習アルゴリズムにより関節炎の痛みを伴う関節の位置に従ってパターンを分類することを提案しています。これにより疾患のフェーズに合った安全な治療薬を医師が適切に調整することができます。

論文:Patterns of joint involvement in juvenile idiopathic arthritis and prediction of disease course: A prospective study with multilayer non-negative matrix factorization

若年性突発関節炎とは?

引用 WOOFOO,Inc.

16歳未満のこどもに起こる突発性の関節炎を「若年性特発性関節 」と言います。その多くは、原因が分からないまま、関節炎の症状が1ヶ月以上続き、米国だけで推定30万人の子供が関節炎に苦しんでいます。

症状として、関節に炎症が起き、関節が痛んだり、腫れたり、熱をもったり、赤くなったりして、関節を動かしにくくなったりします。

また、関節炎の種類によっては、関節炎に加え、発熱を繰り返したり、皮疹が出たり、適切な治療を受けられない場合には、炎症が続くことにより関節が壊れてしまい、関節としての機能が果たせなくなる可能性があるとのこと。

現在の主な治療法は、イブプロフェンなどの抗炎症性疼痛緩和薬からメトトレキサート、ステロイド、生物学的薬剤など非常に高価な薬で構成されていますが、これらの治療薬は高価なだけではなく、症状によって適さないものがあったり、感染の危険性の増加などを含む潜在的な副作用と関連している可能性もあるため、症状毎に患者をよりよく分類し、疾患の経過を予測する必要があります。

しかし、現在の分類システム(国際リウマチ学会のILARサブタイプ)は、活動的な関節の数(疾患の最初の6ヶ月間に4つ以下または5つ以上の冒された関節)に従って患者を分類しており、これらのパターンは臨床像において不均一で、疾患の経過、治療に対してあまり有効ではなかったとのこと。

これらの課題の対し、トロント大学のコンピュータサイエンスの研究チームは、機械学習を使って、関節炎の痛みを伴う関節の位置に従ってパターンを分類し、さらにそれらを層別化することを提案しました。

機械学習で関節炎のパターンを分類、層別化

第一歩として、関節炎を発症したけど、まだ薬物治療を受けていなかった子供たちをタイプ別に分類することに着手、2005年から2010年にかけて収集された640人の関節炎を発症した小児からの臨床データを集めました。

これらのパターンを特性化するために、教師なしパターン認識手法である多層非負行列因数分解(NMF)を使用して、頻繁に関連する関節をグループ化したいくつかの関節パターンを特定しました。

すると、データは、骨盤領域、指、手首、つま先、膝、足首、および不明瞭なパターンの関節活動パターンを明らかにし、患者を7つの異なるグループに分類することができたとのこと。

さらに、どの子供がより早く寛解するか、そしてどの子供がより重症の病気を発症するかを正確に予測するために、640人の患者を局在化の程度によって3つのグループに層別化しました。

多くの場合は痛みの箇所で分類が可能でしたが、分類が「できなかった」ケースでは治療が難しいことがわかりました。

これらのグルーピングによって、疾患の経過を予測し、使う薬の強さを変えることで、負担を軽減できるようになります。

例えば、患者がその非グループに属していると識別されるとすぐに、医師はかなり強力な薬の投与することによって、結果を改善することができ、一方、子供がすぐに寛解期に入る可能性が高いと判断された場合は、薬の使用を最小限に抑えることができます。これによりコストが削減され、不必要な副作用から解放されます。

今回の研究により、カスタマイズされた医療治療への新しい道を開くことができました。