胸部X線画像による死亡推定モデルの提案。レントゲンで将来的な死亡率がわかる!?
3つの要点
✔️ 胸部 X 線写真をもとにして長期死亡率を推定
✔️ CNN を用いて胸部X線写真(CXR)から予後情報を抽出するモデルを構築
✔️ 高いリスクスコアを持つグループは、特定の死因で、死亡率が3.3 ~ 11倍になることを確認
Deep Learning to Assess Long-term Mortality From Chest Radiographs
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(Submitted on July 19, 2019)
Comments: Published by Health Informatics.
Subjects: Artificial Intelligence(cs.AI)
背景
ここでは、本研究の背景となる「胸部X線画像」について概説したのち、ポイントについて述べていきます。比較的認知度の高い胸部X線画像から、どのようなことがわかるのか、押さえていただければと思います。
主に肺や心臓を対象として、状態を把握するために使用されます。胸部X線画像は、最も普及している検査法の一つで、100年以上の歴史があり、心電図と双璧をなす最も基本的な画像検査であると言われています。その理由として、ひと目で患者の状態を把握できる、医療施設への普及率が高い、患者の状態が悪くても撮影可能,安価である、といった数多くの利点を備えていることが挙げられます。
肋骨や椎体, 肩甲骨などの骨構造は白く,気体が多く含まれる肺は黒く,心臓や胸壁,筋肉などの軟部組織はほとんどが 水と同じ濃度を呈しているため、中身はほとんど透明な状態となっています。多くの呼吸器疾患においては、呼吸をつかさどる領域を病変が占拠するため,本来は黒く見えるはずの肺の中に白っぽい影が映ることが疾患の証となります。
胸部X線画像で判明する疾患として、主に肺疾患、心疾患があります。日本における最も致死率の高い癌として、肺がんが指摘されており、こうした基礎的な検査であっても疾患予防の点からは重要性が高いとされています。
本研究では、胸部 X 線写真に基づきCNN を構築して、長期死亡率と関連性の高いCXRリスクスコアを導出し、スコアと死亡率の関連を評価しています。この研究のポイントは、胸部 X 線写真という医学における画像検診の中で最も一般的な画像データを用いている点です。こうしたデータから、将来的な死亡リスクの高いグループを特定することで、死亡リスクを低減、あるいは疾患の罹患を予防することが期待されます。また、リスクの高いグループに対して集中的に治療や検査を行うことで、介入する必要のない人への医療費等の医療コストを削減できる効果も期待されます。
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