建築デザインとAI。GANを用いた間取り図生成の紹介

原文:AI & Architecture   この記事はこちらの記事を意訳したものになります。

ディープラーニング界隈で生成モデルとして注目を集めているGAN。

人の顔にフォーカスしたコンテンツなど研究の領域では非常にHOTですが、実用化まで進んだ事例はまだまだ少ないのが現状です。そんな中、ハーバード大学大学院デザイン学研究科のStanislas Chaillou氏が建築分野でのGAN応用として、GANを用いて間取り図を作成する取り組みを行っています。

空間の設計は逐次的なプロセスであり、異なる規模(都市規模、建築規模、単位規模)にわたる一連の設計段階を必要とします。これらを実現するために、発生した間取り図全体でより複雑なものを捉えることができる生成モデルであるGANを使用します。

建築デザインとGAN

建築デザインへのGANの応用はまだ始まったばかりです。

2018年のACADIAカンファレンスでHao Zheng氏とWeixin Huang氏は初めての出版物を出し、間取り図の認識と家具のレイアウト生成におけるGANの可能性を示しました。部屋プログラムと開口部の位置に基づいて、部屋の面材をモデルが描画するというものです。

同年、ハーバード大学のGSDで論文を発表したNathan Peters氏は、GAN(pix2pix)を使って、一戸建て住宅の設置面積に基づいたプログラムの再分割に取り組むことを提案しました。 

今回の取り組みはこれらの研究を拡張したものとなっています。

GANで間取り図を生成する

AIで間取り図を作成するにあたって大きく3のタスクがあります。

(1)大量かつ非常に多様な間取り図を設計すること。
(2)生成した間取り図を適切に分類すること。

また、この取り組みでは(3)結果出力を解析し分類するための厳密なフレームワークも追加し、ユーザが「閲覧できる」ことも可能にします。さらに、複数ユニットの処理を自動化することにより、建築や都市開発で、全体を示す基本設計のレイアウトにまで作業を拡大できるようにしています。

以下の図を見てもらったら分かる通り、この取り組みでは、間取り図を描くために必要なすべてのステップを統合したマルチステップパイプラインを実現しています。建築家によって行われているプロセスをエミュレートし、各ステップをカプセル化したものです。

パイプラインを別々のステップに分割することにより、各モデル間でのユーザーの介入が行えるようになります。モデルの出力を選択し、それを編集して次のモデルに渡すことで、ユーザーは設計プロセスを管理できます。

(1)間取り図を生成する(すなわち大量かつ非常に多様な間取り図を設計する)

最初のステップでは、与えられた区画のジオメトリに適した建物の設置面積を作るという課題に取り組みます。このモデルをトレーニングするために、ボストンの建物のフットプリント(水平投影面積)の広範なデータベースを使用して、商業、家、マンション、産業など、特定の不動産タイプに合わせた一連のモデルを作成します。

それぞれのモデルは、与えられた区画に対して、寸法とスタイルが似通った一連の関連する以下のようなフットプリント(水平投影面積)を作成することができます。

 

さらに、建物のフットプリントに沿った自然な部屋のレイアウトを作成していきます。意味のある隣接関係、典型的な部屋の寸法、適切な開窓を考慮しながら、与えられた平面図を分割していきます。

約700以上の注釈付き平面図のデータセットを使用して、さまざまなモデルをトレーニングしています。それぞれ特定の部屋数に合わせて調整されており、かなり適切な結果が得られてます。

家具を生成

次のステップは、スペースを考慮して家具を追加することです。ネットワークに、各部屋のプログラムを、空間全体の家具の相対配置、各要素の寸法に基づいて学習させます。


品質をさらに洗練するために、各部屋タイプ(居間、寝室、台所など…)について追加のモデルの配列を訓練しました。

出力結果

GANは、建築における制約の多い問題を、非常に優れた柔軟性で解決することができます。例えば、平面図レイアウトの場合、フットプリントの寸法と形状が変化すると、それらスペースに合わせ手動で分割して配置し直すのは極めて困難でめんどくさい作業です。このモデルを用いる事で、変化する制約に「スマート」に適応した大量の間取り図ず生成が可能になります。

 

さらに、入口のドアや窓の位置を制御する柔軟な能力により、単一ユニットの論理を超えて、より大規模なスペースプランニングに取り組むこともできます。
以下の図は技術を街全体の建物に拡大したものです。

(2)分類する

さらに、生成されまくった多様な設計オプションを整理、分類するための適切なフレームワークを見つけることが必要になってきます。

そのため間取り図設計の6つの重要な側面(フットプリント、プログラム、オリエンテーション、厚さとテクスチャ、接続性、および循環)に基づき6つの主要メトリックを分離しています。

これらの6つの測定基準を、間取り図のスタイルと組織の両方の側面に対処する、包括的なフレームワークとして一緒に機能させます。

この方法は、「ブラックボックス」アプローチとは対照的です。ユーザは事前に情報を入力するだけで、一連の生成ステップを制御することなく、プロセスの最後に完成したデザインオプションを取得できますが、逆に、パイプラインを個別のステップに分割することで、ユーザーが途中で介入できるようにしているからです。

パイプラインの各ステップはアーキテクチャの専門知識の異なる部分を表すので、各モデルは独立して訓練することができ、少しずつ改善していくことが可能です。例えば、このパイプライン全体をエンド・ツー・エンドで改善するのは、非常に長くて面倒な作業になる可能性がありますが、このモデルであればエンジニアが手の届く範囲内で段階的に修正し管理することができます。建築データの利用可能性が高まっていることから、建築における機械学習の利用はますます進んでいくことでしょう。

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