パスワードで顔の匿名化と復元、プライバシーとアクセシビリティを両立する新しいFace Identity Transformer
3つの要点
✔️ パスワードで匿名化と復元を実現するFace ID Transformerを提案
✔️ カメラのメモリ要件を考慮して、匿名化・復号化を一つのネットワークで実現
✔️ パスワードと顔が1:1となるため、間違ったパスワードでも顔画像が生成し、ハッカーが匿名化に気づけない仕組みを導入
Password-conditioned Anonymization and Deanonymization with Face Identity Transformers
written by Xiuye Gu, Weixin Luo, Michael S. Ryoo, Yong Jae Lee
(Submitted on 26 Nov 2019 (v1), last revised 30 Sep 2020 (this version, v4))
Comments: Accepted at ECCV2020
Subjects: Computer Vision and Pattern Recognition (cs.CV); Machine Learning (cs.LG); Image and Video Processing (eess.IV)
概要
スマホや防犯カメラなど、カメラの普及が急速に進んでいます。しかし、その画像に含まれる個人情報(特に顔情報)の漏洩が懸念されています。
これまでも顔画像を編集して匿名化する技術は報告されていますが、その多くは、元の画像をぼかすなどマスキングする技術です。しかし、これでは元の画像を確認することができなくなってしまいます。元画像の行動情報のみを保持する技術など元画像の痕跡を残した匿名化技術も報告されていますが、やはり顔については匿名化されたままになってしまいます。これらは、確かに安全に画像を保持することはできますが、画像が編集されてしまうため、実際に誰が何をしているのか、確認できません。
例えば、事件が発生して防犯カメラを後から確認しようと思っても、なんの手がかりも得られず、カメラの意味がありません。また、個人で撮影した思い出の動画像においても、保存するときはプライバシーを保護していても、見返すときには復元されていなくては意味がありません。したがって、匿名化技術においては、プライバシーが保護された状態で動画像を保存しながら、必要に応じて元の画像を復元できることが求められます。
この論文では、この問題を解決するために、パスワードベースで顔画像を匿名化、復元する新しいFace Identity Transformerを提案しています。概要は下図のようになります。
まず、元となる入力画像(Inputs)に対して、パスワードが埋め込まれ、匿名化された画像が生成されます(Anonymization)。その後、正しいパスワードが入力されると、元の画像が復元され、誤ったパスワードが入力されると、元の画像とは異なる別の画像が生成されます(Deanonymization)。
したがって、元画像を復元可能な形でプライバシーを保護することができ、さらに、ハッカーはパスワードを間違ったことに気づくことができない仕組みを組み込むことができます。つまり、間違ったパスワードが入力されても顔画像が生成されるため、ハッカーにハッキングに成功したと勘違いさせることができます。また、このフレームワークでは、カメラにのメモリ制限を考慮して、AnonymizationとDeanonymizationを1つのネットワークで実現しています。
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