最新AI論文をキャッチアップ

マスク着用が顔認識システムに与える影響とは?

マスク着用が顔認識システムに与える影響とは?

画像認識

3つの要点
✔️ コロナウイルスの流行を背景に、非接触型の本人確認としてマスクのまま顔認証できるとするサービスが増加
✔️ 
しかし、マスク着用による顔認証システムの性能検証は世界的に不十分
✔️ 既存の顔認識アルゴリズムに対してマスク着用による影響を検証した初めての論文

The Effect of Wearing a Mask on Face Recognition Performance: an Exploratory Study
written by Naser DamerJonas Henry GrebeCong ChenFadi BoutrosFlorian KirchbuchnerArjan Kuijper
(Submitted on 27 Jul 2020)

Comments: Accepted at BIOSIG2020
Subjects: Computer Vision and Pattern Recognition (cs.CV)

コロナを背景に注目されるマスク着用時の顔認証

空港・金融機関・オフィスの入退館などさまざまな場面で顔認証の利用が増えています。また、コロナウイルスの流行を背景に、マスクと非接触による顔認識がさらに注目が高まっています。一方で、十分な検証がなされていないまま、急速に普及が進んでおり、マスクによる本人認証を懸念する声も高まっています。

最近では、日本コンピュータービジョン(JCV)が提供する、マスク着用したままでも顔認証・体温測定が可能な「AI検温ソリューションSenseThunder」が様々なところで導入されており、皆さんの中にもデパートや病院など街中で試した方も多いかもしれません。しかし、実際の使われ方をみると、顔認証は行われておらず、体温計測のみに使われているケースがほとんどであり、検温のニーズはあるものの、顔認証自体やマスク着用のまま顔認証をすることには抵抗がある導入者・ユーザーが多いのが現状です。

出典:PR Times "AI顔認識技術を活用した体温測定システムを文部科学省に導入" 2020.04.24

そこで、今回は各社のサービスリリースが進む一方で、性能が懸念されているマスク着用による顔認証の影響を検証している論文をご紹介します。

これまでも顔の一部が隠れた場合の、顔認識技術は研究されていましたが、ほとんどが日常的によく見られるマスクではなく、サングラスなどで顔の一部が隠れているケースです。また、技術的にも顔の検出に関するものであり、いま導入が進み、求められている生体認証ではありません。

2018年に中国でマスクに着目した顔検出・認識の研究があり、データセットの提供や評価検証は行われているものの、精度向上に焦点が当てられており、ベースラインやアルゴリズムの詳細、評価データに関して詳細はなく、認識精度を50%から95%まで向上させたという結果のみが主張されたものでした。しかし、現在のコロナ下では、より実用的なマスク着用時における顔認識アルゴリズムに対する影響の検証が求められており、この点はまだ不十分です。

この論文では、マスク着用の有・無での動画を集め、よく利用されている2つの高性能な顔認識アルゴリズムと1つの高性能なCOTSに対して、顔認識におけるマスクの影響をさまざまな観点(EER, FRM100, FRM1000, ZeroFMR, G-mean, I-mean, FTX)からN:N比較による検証をしています。 

続きを読むには

(5950文字画像7枚)

AI-SCHOLARに
登録いただく必要があります。

1分で無料で簡単登録する

または
Takumu avatar
インターネット広告企業(DSP、DMP etc)や機械学習スタートアップで、プロジェクトマネージャー/プロダクトマネージャー、リサーチャーとして働き、現在はIT企業で新規事業のプロダクトマネージャーをしています。データや機械学習を活用したサービス企画や、機械学習・数学関連のセミナー講師なども行っています。

記事の内容等について改善箇所などございましたら、
お問い合わせフォームよりAI-SCHOLAR編集部の方にご連絡を頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いします。

お問い合わせする