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時間経過の不規則性を解決!T-LSTM を用いた深層学習モデルによる患者プロファイル抽出手法の提案

時間経過の不規則性を解決!T-LSTM を用いた深層学習モデルによる患者プロファイル抽出手法の提案

medical

3つの要点
✔️ 慢性腎臓疾患(CKD)の長期的な傾向を抽出する時系列深層学習モデルの提案
✔️ ランダムサンプリングされた患者データによる T-LSTM を使用

✔️ 不規則な時間特性を考慮した学習により、CKD患者特有のプロファイルを特定

Learning Deep Representations from Clinical Data for Chronic Kidney Disease
written by Duc Thanh Anh Luong,Varun Chandola
(Submitted on 1 Oct 2018 (v1), last revised 9 Feb 2019 (this version, v2)])

Comments: Published by arXiv
Subjects: Machine Learning (cs.LG); Machine Learning (stat.ML)

背景

ここでは、本研究で取り扱われている「慢性腎疾患(CKD)」および「T-LSTM (Time-aware LSTM)」を概説した後、研究のポイントについて述べていきます。

慢性腎疾患(CKD)とは?

慢性腎疾患をする前に、身体の中の老廃物の除去を一手に引き受ける「腎臓」がどのような働くのかを概説したいと思います。

 腎臓は背中の中央付近にあり、背骨を挟んで、左右両側に2つあります。主な役割は、体の中の不要物と必要な物質を分割し、不要物を体外へ放出する為の尿を作り出すことです。体内の不要物の除去を一手に引き受ける為、心臓から送り出される血液の実に 1/4 が流れ込みます。こうした流れ込んだ血液は、糸球体と呼ばれる、毛細血管の集合体によって濾過・浄化され、体にとって必要なものと不要なものに分離されます。

 また一重に不要物の除去と言っても、腎臓には大きく二つの作用があります。一つは、先ほどは説明した、糸球体における「濾過機能」で、もう一つは、糸球体に続く尿細管での「再吸収機能」です。不要物の除去の流れとしては、血液に対して、まず、大きな分子(タンパク質、赤血球等)だけを残すように、糸球体でざっくりと血液が濾過されます。その後、身体にとって必要なもの(水分・電解質)を尿細管にて、再吸収するといった形で構成されます。そのため、単に腎臓が悪いと言っても、疾患によって、濾過機能と再吸収機能のどちらが悪いかは異なるため、原因を特定する必要があります。また、身体の中でこうした役割を持つのは腎臓だけであり、身体における不要物の除去という重要な役割を一身に担っています。

 こうした症状を持つCKDですが、身体の様々な要因が絡まる為、様々な要因が複雑に絡み合った多因子疾患であると言われています。また、腎機能は一度低下、悪化してしまうと改善することが困難であると一般的に指摘されており、悪化する前に早期発見し、腎機能低下をいかに防ぐかが重要な課題となっています。

また、本論文では、CKD の進行過程が患者ごとに異なると言った、時間的な不均一性に注目しており、こうした不均一を考慮したサブグループの推定が重要であると述べています。

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