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AIで認知症発症を予測!アルツハイマーへの進行を特定する特徴量を抽出

AIで認知症発症を予測!アルツハイマーへの進行を特定する特徴量を抽出

その他

3つの要点
✔️ 軽度認知機能障害(MCI)におけるアルツハイマー病(AD)の発症をベースラインで予測
✔️ 磁気共鳴イメージング(MRI)を用いた CNN による特徴量抽出とLasso による Cox 回帰モデルの二つを併用
✔️ 従来予測困難であった MCI から AD 発症の予測を 86.4% の確率で推定

A deep learning model for early prediction of Alzheimer’s disease dementia based on hippocampal magnetic resonance imaging data
written by Hongming LiMohamad HabesDavid A. WolkYong Fan
(Submitted on 5 Aug 2019)

Comments: Published by Alzheimer's & Dementia.
Subjects: Computer Vision and Pattern Recognition (cs.CV); Applications (stat.AP)

背景

ここでは、本研究で扱われている、「軽度認知障害(MCI)」と認知症の代表的な症状である「アルツハイマー症候群(AD)」について簡単に解説した後、研究のポイントについて述べていこうと思います。

軽度認知機能障害 (MCI) とは?

軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment, MCI) とは、軽度記憶障害(物忘れ等)を症状としてもつ、認知症と健常者の中間状態です。一般的に日常生活に支障はなく、日本全国で約400万人いるとされています。MCI から 認知症へ進展する進行率は10%~20%、5年間で40%程度と言われています。

また、早期発見・治療によって、症状が回復・重症化を予防することができると言われており、認知症の決定的な治療も現状ではないことから、進行前に予防することが最重要と指摘されています。その一方で、現状では、軽度〜中程度の認知症で発見されるケースが60%以上であることから、こうした早期発見が実現していない課題も抱えています。 

アルツハイマー (AD) とは?

アルツハイマー (Alzheimer Disease, AD) とは、記憶障害、言語障害、予測不可能な行動等の症状が発生する不可逆的な進行性の脳疾患です。脳内のアミロイド斑(アミロイドβタンパクの蓄積)、神経原線維変化、脳内の神経細胞(ニューロン)間の連結の消失、が病理的な特徴とされています。現在のところ有効な治療薬は報告されていません。

現在、機序として有力な説は、タウ蛋白の異常沈着により、脳内にアミロイド斑とタウ蛋白からなる神経原線維変化が発生します。こうした変化によって、元々健康なニューロンが、効率的に機能しなくなってきます。こうした状態が慢性化すると、ニューロンは、相互に機能して連絡し合う能力を失い、最終的には死滅してしまいます。

こうした病変が、記憶・学習を司る「海馬」という部分に及ぶと、記憶障害をはじめとした高次脳機能障害が発生します。やがて脳全体が萎縮し始め、脳機能全体が低下していくことになります。

こうした脳内の変化は、症状が出現する10年以上も前に始まっているという指摘もあり、実際に症状に出るかなり前から生態学的な変化が生じているとされています。また、不可逆的な症状である一方、早期発見によって進行を緩和・予防することが可能であるとされており、早期発見の重要であるとされています。

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