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人工知能(AI)とは何? AI・機械学習・ディープラーニングの違い丸分かり!

人工知能(AI)とは何? AI・機械学習・ディープラーニングの違い丸分かり!

AI-SCHOLARが送る、ビジネスマン向け新コンテンツ「AIを体系的に学ぶ」へようこそ!学習のスタートとして、本節では「AI」という言葉が何を意味し、どう理解すべきなのか解説していきます!本節を読めば、AIと機械学習、深層学習の違いを知ることができるでしょう。

1. AIは魔法じゃない!

近年「AI」という言葉が爆発的な人気を呼んでいます。

AIに関する知見が一般大衆にまで広がることは良いことですが、曖昧で不明確な文章や、時に誤りを含む内容が散在しているのも事実です。ビジネスの現場でも、その成功事例だけは耳にすることがあっても実際には何ができるのか分からないまま、言葉のみが先走っているというのが現状ではないでしょうか。

AI (人工知能) の正式名称をArtificial Intelligenceと言います。AIとはコンピューターに人間と同じように判断や学習、認識するようなコンピューターシステムのことです。と言いつつも実際、AIには明確な定義はありません。なのでAIとは?、と聞かれても答えることが難しいのです。

実際に学術的にもAIの定義ははっきりとは決まっていません。

米スタンフォード大学教授を務めた計算機科学者 アーサー・サミュエル「コンピュータに明示的にプログラムすることなく学習する能力を与える研究分野」という説明が最も有名でしょう。 日本人研究者の定義も見てみましょう。 

中島 秀之 公立はこだて未来大学
学長
人工的につくられた、知能を持つ実体。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である
西田 豊明 京都大学大学院
情報学研究科教授
「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である
溝口 理一郎 北陸先端科学技術
大学院大学教授
人工的につくった知的な振る舞いをするもの(システム)である
長尾 真 京都大学名誉教授
前国立国会図書館長
人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである
堀 浩一 東京大学大学院
工学系研究科教授
人工的につくる新しい知能の世界である
浅田 稔 大阪大学大学院
工学研究科教授
知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない
松原 仁 公立はこだて未来大学
教授
究極には人間と区別がつかない人工的な知能のこと
武田 英明 国立情報学研究所
教授
人工的につくられた、知能を持つ実体。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である(中島氏と同じ)
池上 高志 東京大学大学院
総合文化研究科教授
自然にわれわれがペットや人に接触するような、情動と冗談に満ちた相互作用を、物理法則に関係なく、あるいは逆らって、人工的につくり出せるシステムを、人工知能と定義する。
分析的にわかりたいのではなく、会話したり付き合うことで談話的にわかりたいと思うようなシステム。それが人工知能だ
山口 高平 慶應義塾大学理工学部
教授
人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム
栗原 聡 電気通信大学大学院
情報システム学研究科教授
工学的につくられる知能であるが、その知能のレベルは人を超えているものを想像している
山川 宏 ドワンゴ人工知能研究所所長 計算機知能のうちで、人間が直接・間接に設計する場合を人工知能と呼んでよいのではないかと思う
松尾 豊 東京大学大学院
工業系研究科准教授
人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術

定義がここまでバラつくほど、人工知能の定義は曖昧です。(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」より作成

アーサー・サミュエル [画像出典 : Stanford InfoLab]

では、計算機科学者 アーサー・サミュエルの「コンピュータに明示的にプログラムすることなく学習する能力を与える研究分野」という説明を取り上げてみると、この説明を真に受ければ、”プログラミングや数式を使うことなく、魔法のようにツールを操ったり、作ることができるのではないか?”と思う人もいるかも知れません。しかし、この定義はかなり昔に提唱されたAIの理想形であり、現在のAI技術はこのレベルにはまだ至っておりません。

また、AIは研究分野の一つではありますが、現在は機能としての意味で使われることが多いです。その計算方法をビジネスに活用することで、現在様々な企業が成果をあげたりしていますね。まずここでAIという言葉がが研究分野として使われているのか、機能的な意味で使われているのかと曖昧さが故の使われ方がされています。

あえて現在の実用化レベルでAIを説明するとすれば、

AIとは、データから特徴を分析し、経験則的に高い精度で予測・分類を行うことができるプログラム機能と言った表現が合っているかと思います。

例えば、チェスの世界チャンピオンに勝ったAIは、大量の作戦を覚えて実験することで ”有利になる確率が最も高い一手を予測・選択”しています。また、顔を自動的に認識するAIであれば、データに変換された様々な人の顔画像を、学習することで「人間の顔」がどういったものかという傾向から分類することで判断しています。

すなわち、AI技術は色々なことに「活用」することができますが、AIそのものだけでできることは多くなく、まだまだ人間に使われている1つのツールとさほど変わらないのが現状です。本コンテンツを読み進めていけば、きっとAIの機能とその限界を知ることができるでしょう。

世間一般で認識されている「AI」と、実際に企業が活用を始めている「AI」の間には、そのイメージに大きな乖離があります。その乖離を正しく知ることが、まずはAIビジネスへの第一歩と言えるでしょう。また、実はAIは世界中の研究者にとっても、今非常にホットなワードになっています。そんな今こそ基礎的な知識を身につけておくことで、今後凄まじいスピードで成長していくであろうAIビジネスの活用に取り残されないようにしましょう!

2. 機械学習?ディープラーニング? まずはその違いを知ろう!

さて、AIの定義を一言で説明することが難しいことはわかりました。

ところで、AI以外にも機械学習、ディープラーニングといった言葉をよく耳にするようになりましたね。これらはAIと非常に強く関係する言葉ですが、まずはAIと関連する用語を抑えて、その区別をしっかり理解できるようになりましょう。

AI、機械学習、ディープラーニング (深層学習)の関係を図にすると以下のようになります。最も色々な意味を含んでいるのがAI(人工知能)であり、それゆえ “AI”という言葉を雑に使ってしまうとその指している言葉の範囲が広く、大変分かり辛いものとなっています。

AI・機械学習・深層学習の関係

では、以下では簡単に、機械学習、ディープラーニングとはなんぞやということをお話ししていきましょう。

◾︎機械学習

機械学習とは、”AIをデータから特徴を分析し、経験則的に高い精度で予測・分類を行うことができるプログラム機能」とした時、その計算を自動的に行うシステム” を指すというとわかりやすいかもしれません。

機械学習は、AIの中の計算システムを指すので、ほとんど同じように扱われることも多いです。ただし、しっかりと違いを把握しておきましょう。

例えば、画像認識機能、将棋AIなども機械学習のシステムを用いて作られたと言うことができます。

◾︎深層学習

機械学習は、大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を行う手法です。そのためには、「色」や「形」のように着目すべき特徴(パラメータ)を人間が指定する必要があります。

ディープラーニング(深層学習)は、その機械学習に新たなメカニズムを追加した、機械学習の中の一分野を指すと言えばわかりやすいかもしれません。

人間の脳神経回路をモデルにした多層構造アルゴリズム「ディープニューラルネットワーク」を用い、特徴量の設定や組み合わせをAI(人工知能)自ら考えて決定します。機械学習では「色」や「形」のように着目点を指示する必要がありましたが、ディープラーニング(深層学習)の場合はそれを指示をしなくても、どのような値を特徴とすべきかを自ら考えて、最適な分類 or 予測を行うことができます。ここでは詳細な説明は省略しますが、非常に興味深い原理となっています。

また、誤解を与えないように最も重要な点として、ディープラーニングにもデータや経験が必要(なければ何もできない)であること、人間が加える操作もあること” は必ず認識しておいてください。

現状では「機械学習」と「深層学習」の仕組みを詳細に理解する必要はありません。本節では、それらの包含関係と、AIがデータを元に特徴を予測したり分類するプログラムであることを抑えておきましょう。 

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