安全に情報を隠蔽するステガノグラフィ技術が登場。セキュリティにも深層学習の波?

3つの要点

✔️従来手法よりもセキュアなステガノグラフィ技術手法「ADV-EMB」の提案

✔️Adversarial Example技術を組み込むことによってセキュリティを向上

✔️様々なステガノグラフィ検出器に対して、汎用的に使用可能

 

ステガノグラフィとは

通信を安全に行いたい場合、暗号化を行なってから通信を行うことが一般的です。しかし、暗号化された通信を盗聴され、復号されると通信の内容が攻撃者に盗まれてしまいます。

そこで登場するのが「ステガノグラフィ」という秘密情報を別の情報に埋め込む技術です。

ステガノグラフィは秘密情報を画像などの別の情報に埋め込むことによって、秘密情報を攻撃者から隠蔽することが可能です。攻撃者からみると、なんの変哲も無い盗聴しても仕方のない情報に見えるわけです。埋め込む元の画像を「カバー画像」、埋め込んだ後の画像を「ステゴ画像」と呼びます。

図1. ステガノグラフィの概要

 

ステガノグラフィは元の情報を出来るだけ変化させずに、秘密情報を埋め込むので、秘密情報が埋め込まれていることを検知すること自体、非常に困難でした。しかし、近年、深層学習学技術によって、画像に秘密情報が埋め込まれているかどうかを高精度に識別できるようになってきました。

そもそも情報を隠蔽している時点で、内容は何かわからないにしろ、そのような情報の存在がばれてしまうこと自体がリスクとなってしまいます。

本記事では、そのような深層学習技術に情報が埋め込まれていないと誤認識させるセキュアなステガノグラフィ技術を紹介します。これには近年注目を集めているAdversarial Example技術が適用されています。実験の結果、従来よりセキュアなステガノグラフィを実現しています。

  ステガノグラフィの応用

先程、ステガノグラフィは秘密情報を隠蔽する目的で使用されると説明しました。しかし、以下のような目的にも使用できる可能性があります。

デジタル電子署名

一つは「デジタル電子署名」です。これは現在の通信の安全性の基盤となっている技術です。メッセージが改竄されていないか、違う人がなりすましてメッセージを送信していないか、を確認することができます。

しかし、デジタル電子署名を実現するには受信者と送信者とは別の第三者による認証が必要になります。ステガノグラフィによる電子署名は第三者の認証を必要としないという利点があります。詳細はこちらをご覧ください。

メタ情報の保管

また、画像などを保管する際、画像に付随するメタ情報(誰が写っているか、いつ撮影したか、など)は別途保管されます。ステガノグラフィによって、このメタ情報を画像を埋め込むことによって管理の手間が省けます。さらに動画のフレームごとにメタ情報を埋め込んでおけば、シーンの検索等も可能になるかもしれません。

ステガノグラフィの応用について詳細に知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

提案手法

ここからが本題です。

今回、提案されたセキュアなステガノグラフィ手法を「ADV-EMB」と呼びます。ADV-EMBの大まかなステップは次の通りです。

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