ネイル型センサー×AI。爪先から患者の健康や病気の進行状況が分析可能に
IoT × AIの取り組みは盛り上がりを見せており、医療分野においても大きな可能性を秘めていますが、そんな中、IBMは、機械学習を用いて爪の動きから健康状態や病気の進行具合を分析するネイル型センサーを開発しました。パーキンソン病患者の投薬の影響や総合失調症患者の症状、心血管など、日常生活で継続的に患者の病状や健康状態を観測することで、患者の状態の把握や病気の発見に役立つとのこと。
IOT×AI。爪に詰まった豊富な健康情報を機械学習で解
IoTによりさまざまな情報をデータ化し、AIによって解析する、IoT × AIの取り組みは盛り上がりを見せており、医療分野においても大きな可能性を秘めていますが、そんな中、IBMは、機械学習を用いて爪の動きから健康状態や病気の進行具合を分析するネイル型センサーを開発しました。
12月21日に「Scientific Reports」で発表した最新の研究論文で、当チームはヒトの健康のモニタリングに役立つ、「ネイル型センサー」のプロトタイプについて詳述しています。この装置は、ヒトの手の爪の歪みや動き、圧力を絶えず測定し、AIによって解析。パーキンソン病患者の投薬の影響や総合失調症患者の症状、心血管など、日常生活で継続的に患者の病状や健康状態を観測することで、患者の状態の把握や病気の発見に役立つとのこと。
ヒトの握力は、驚くほど幅広い健康問題を判断できる有効な指標で、日常的に物をつかんだり押した動作で生じる爪のひずみを測定すると、健康状態に関するさまざまデータが得られます
これまでも、パーキンソン病患者に対する治療薬の効果や、統合失調症患者の認知機能のレベル、患者の心臓血管の健康状態、そして高齢者の全死因死亡率との関連性が指摘されてきました。
そこで、IBMの研究チームは、指から健康状態に関するさまざまデータが得られる事に着目し、人間が1日の流れの中で周囲の環境と相互作業する際の指の歪みを測定して興味深いシグナルを見つけ、機械学習を利用してそのデータを分析すれば、有益な洞察が得られる可能性があるのではないかと考えました。
その後、同チームは指より丈夫な爪を採用、手で物をつかむなどした際に生ずる爪のひずみをセンサで計測し、感知したデータをApple watchなどのスマートウォッチに送り、機械学習により分析するというネイル型センサーを開発しました。
▶︎爪の変形から繊細な指の動きを解析も可能
また、爪の変形から繊細な指の動きを解析し得ることもわかりました。鍵を回す、取っ手を回してドアを開ける、スクリュードライバーを使うなど、回内運動や回外運動を伴う典型的な日常の動作を判別することが可能になりました。さらに繊細な動作として指で文字を書くことが挙げられており、当チームはニューラル・ネットワークのトレーニングを繰り返し、センサーを装着した指で書かれた数字の検出において極めて高い精度(94%)を達成しています。
IOT×AIで広がる未来
指先にコンピューターを置くという発想から、爪の繊細な動きを検知して特徴づけることができるようになり、爪の新たな活用法を見い出しました。またこれらのデータを機械学習により解析することでことで、健康状態に関する洞察を引き出し、新たな種類のユーザー・インターフェースを実現できます。また、この研究から将来、四肢麻痺患者のコミュニケーションに役立つことが期待される、指先の構造をモデルにした新たなデバイスへの着想も得られたと同チームは述べております。
IoT × AIの組み合わせは、医療分野をはじめ多岐にわたる分野でさらに力を発揮していくのではないでしょうか。
この記事に関するカテゴリー