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VRとAIで “人の本質” を見抜け。採用の効率化を推し進めるイスラエル発のASSENSE™️とは?

VRとAIで “人の本質” を見抜け。採用の効率化を推し進めるイスラエル発のASSENSE™️とは?

インタビュー

「あなたは、どんな人ですか?」

面接で誰もが聞かれたことのある問いではないでしょうか。

しかし本当の”自分”を知っている人はどれくらいいるのでしょう。社会的立場や役割など、表面のペルソナを”自分”だと思い込んでいませんか?

今回、編集部では本当の特性を見抜くと噂のVR×AIの人材アセスメントツール「ASSENSE™️」の日本の販売代理店を行う株式会社JSOLさんに話を伺ってきました。

人の”本質”を評価することが可能

ーまずはASSENSEについて簡単に教えてもらえますか。

海老原 ASSENSE™️はイスラエルのベンチャー企業Actiview社が開発した、人の本質的な能力をアセスメント(可視化評価)し、採用や人材配置の精度や効率を高める人材アセスメントツールです。

特徴的なのは、人材アセスメントの方法としてVRとAIを組み合わせたシステムを用いている点ですね。VRの世界でパズルを解いてもらったり、ミニドラマを見たりコンテンツを体験し、機械学習を用いてその試験中に得られる行動データ(反射やタイミング、動きなど)からその被験者の”特性動因”を見抜くことが可能です。

心理学的には人格は三層に分かれると言われている。

 

1層目: 特性動因
2層目: 自己イメージ 態度  価値観
3層目: スキル  知識

 

3層目と2層は可視化されやすく、コントロールしやすい→実際よりよく見せることが可能。

1層目の特性動因が人格の核をなしてる。しかし、これは可視化されにくい。本人も気づいてない可能性が高いとか。

 

海老原 VRってエンタメとしての用途が多く、ゲーム感覚で楽しめるよねっていうイーメージだと思うんですけど、実はそこで一挙手一投足動きを全部捉えることができるわけで、実際には心理学や脳科学の実験器具として使われていることも多かったりするんですね。

例えば、従来のペーパーテストだと、3層に分かれているうちの、第2層、第3層という自己認知のレイヤーから人格を類推するしかなかったわけです。

現在も性格診断などはありますが、自分自身が認識したい自分っていうフィルターがかかっていることは否めませんよね。また、本心とは異なる求められていそうな回答を選ぶなどもできてしまいます。だからペーパーテストではいい成績だけど実際に現場では使えないということか起こってしまうと思うんです。

特に一層目の特定動因だとなかなか、可視化されにくく本人も気づいてなかったりします。でも、そういった人の特性とかって究極的な状況に陥いらないと出てこなかったりする。

この没入型アセスメントのすごいところはVRでコンテンツをゲーム感覚で体験してる間に、問題への取り組み方や、反射、片づけ方などの被験者の行動軌跡の座標データが全部とれてしまうことです。

これら膨大なデータを機械学習で解析することで、今まで可視化することが難しかった一層目の本質的な特性動因をわずか数時間で評価することができるというわけです。だから嘘のつきようがないんですね。

↑ ASEENSE™️を体験する編集部の松下

 

パズルを解いたり、立体を組み立ててり、VR空間上のドラマ内での出来事に対応したり、まるでゲームのようだ。

 

データは機械学習で処理され、心理学を用いた行動分析結果と照合することで、慎重・行動的・大雑把などの性格や認知能力などの数十項目を30分〜2時間で判断されるとか。そこから、各職種に対しての適正スコアが導き出されるという。

 

海老原 こういったデータに基づいて適材適所を見つけようという動きをピープルアナリティクスっていうんですが、プロスポーツを中心に選手の採用・配置に活用されている手法なんですね。今後、ビジネスにおいてもこういったピープルアナリティクスが広がっていくと思っています。

岩川 各職種におけるプロフェッショナルというか、こういう人たちがロールモデル(高い成果をだしている目標社員)みたいなのって各会社であったりするわけじゃないですか?候補者がその人たちの特徴と近いかどうかを測って、ある人が部署にアサインした時の職種に対してのスコアを出すみたいなのもやってたりします。営業だったら、毎月高い売り上げを出している人の特徴を見つけて、この辺のスコアはこれくらい必要だよねみたいなのを算出する。その人の特徴に近い人を探そうってことができちゃいます。

普通に考えたら一般論として、営業に必要な能力はこれだ!ってのはよく言われてたりするじゃないですか。だけど、実際はコンシューマー向けなのか、BtoB向けなのか、あるいは商材は何なのかってところでも求められる能力は違ってくる。要は、そういうところを踏まえたキャラクターをちゃんと特定して採用することが必要だよねってことです。

そこをもっとさらに進めると、確かに実績は出しているんだけど、本質的に向いてるのかってまた別かもしれないですよね。それを10万人とか100万人単位でデータを体系的にとったら、見えなかったことが見えるんじゃないかってのがいわゆるAIっぽい発想だとおもうんです。

個人単体の性格や特徴を見抜くだけでなく、上司との関係性などを踏まえた個人特性も分かるんじゃないかと考えているそう。

海老原 実際の仕事ってほとんど人間関係で決まったりしますが、上司と部下の反りが合わないと、双方にとって不幸ですよね。

ASSENSE™️は能力だけじゃなくて、性格も見ているので、上司と会う合わないみたいなところから、会社の雰囲気や文化的にマッチするかどうかみたいなのもスクリーニングできるんじゃないかと考えています。将来的にはより相性の良いペアを見つけてパフォーマンスの向上をはかることや、相性の悪い組み合わせを避け、個人・集団のパフォーマンスを向上させることが可能じゃないかと思っていて、ちょうど今その機能を開発しているところです。

人事部の人が使いこなすことができればこんな楽なことはないですよね。

会議室が全部面接で埋まって取れない問題

ーASSENSE™️に目をつけたきっかけを教えてください

海老原 私は、今の会社に入る前にサラリーマン経験10年フリーランスの期間が10年くらいあって何十回もの面接経験をしてきました。選考される側として面接を受ける経験もありましたし、逆に面接をやる側でもありましたが、その時に思ってたのは面接ってすごい非効率だということです。例えば、ある時期になると会議室が全部面接で埋まって取れないとかね。しかも面接ってきちんと選んでるようで結構適当だったりする。

自分周辺やクライアント先、昔の会社の同期などに聞いても、いまだに同じことをやっていて、いまだに採用の時期になると会議室が取れなくなる。全く進歩してないと思ったんです。

そういった原体験から改善の余地があるなと思ってた時に、たまたまイスラエルのイベントに参加してこれだ!と思ったのがきっかけですね。

ーAIが人を評価することをどう思われますか

よくAIがブラックボックスだとか、信用できないみたいな社会派的なことをいう人もいますが、でも考えてみたら、明確な採用基準があるわけでもなく、面接官のさじ加減でどこに行くか決まったりするじゃないですか、なのであんま変わんないじゃないかと思うんですよね。結局のところ人間に裁かれるのが気持ちいか、機械に裁かれるほうが気持ちいのかって話に終始するんじゃないでしょうか?ただある時期になると、急に全会議室が取れなくなるということが無くなると思うのでそれだけでも社会に対する貢献の度合は結構大きいんじゃないかと思ってます(笑)

―確かに、あんまり魅力的じゃないし、本当に見る目あるのかなって人が面接担当してたりしますよね。しかもそういう人に限って、すごい上から、人格的なところまでズカズカ踏み込んできてジャッジしてきたり‥ASSENSEはそういう人が人を正確に評価できるっていう強固な価値観に対してのカウンターカルチャー的なニュアンスを含んでる気もします。

岩川 おっしゃる通りで、クリアでデータ・ドリブンなことを提供受けた方が、気持ちいという感覚の人が働き手の中心になっていくと思うんですよ。

例えば、ミレニアルズ世代の子達なんかは、物心ついた時から、インターネットやSNSが当たり前っていう世界で育っていて、いろんなデータは見えて当たり前と思っているわけですよ。そういう子達が真ん中の世代になった時に、アナログでよく分かんないボスについてくと出世が約束されていますっていうような世界観は通用しなくなってきますよね。そう考えた時、今って切り替えられるちょうど大きい時期に来ているんじゃないかと思っています。

―導入するにあたっての文化的な課題とかってあったりしますか?

岩川 新卒一括採用の場合、まず人数を確保して最終的に何人残るかっていう確率的思考が強くて、個々の能力で選別するモチベーションがさほど高くないような気がしています。

逆にスタートアップみたいな少人数でやってるようなところは、少ない採用枠の中で精度の高い能力選定が必要になってくる。このツールは能力重視で適材適所配置をしたい場合に向いているサービスなんですね。

ちゃんと人を採用したり、どういう風にパフォーマンスを最大化していくかってところに対する痛みを感じてるところにまずはアーリーアダプターとしてこのソリューションの価値を広めて行きたいと思ってます。

ただ、大きな時代の流れとして、今後は少子化などで労働人口が少なくなるのを既に皆さん実感していると思います。ポジションに当てはまる人を高い確率で選定するために、データドリブンなアプローチをとる方向に社会全体としてシフトしていくと見ています。

人は意外と自分のこと知らない

ーお話を聞いてると人が人を評価するって以外にも、自分を知る指標として使える気もします。例えば、今の時代自分のやりたいことが分からないっていう若者が多いじゃないですか。一般的にやりたいことが分からないってフラフラしてて良くないみたいに思われがちだと思うんですけど、私はむしろ人間の普遍的な感情だと思うんです。思ってる以上に自分のことを知るって難しい作業だと思います。そういう迷える人に手を差し伸べてくれるツールなんじゃないかと。

岩川 本来自分が思ってる方向と違うところに自分の向いてる職種や道があったりするじゃないですか。でもそういうのって基本的に分かんないですよね。今までは確率論的につぶしてくしかなかった。例えば、ある部署に配属されたとして、成果が出なかったら、本人もつらいし、会社側としても首にはできないし使いづらい。そこで変な部署に飛ばしちゃったりするわけですよ。あるいは嫌になって辞めちゃったり。ただこのツールを使えば、この会社の他の部署だったらこういう理由でハマるかもしれないってのが可視化される。もちろん100%正しいかどうかなんて分からないけど、自分が進むべき道のひとつの指標となるわけです。

最後に今後のビジョンを教えてください

海老原 VR環境の中で能力を伸ばせるって実際に証明されてたりするんですね。

例えばある仕事に就きたいけど、このスキルが足りなくて試験に落ちるって時に、このコンテンツでトレーニングしたら受かりますよみたいなこともできると思っていて、今後はそういったトレーニングコンテンツ作っていきたいとも考えています。

岩川 私自身はHRとか人事の世界をもっとオープンにしていきたいって思いがありますね。

本来、採用って”マッチング”だと思うんです。でも構造上、採用する側が決定権持つことの方が多かったりするじゃないですか?お互いに情報が可視化されて見えればもっとフェアな世界になるんじゃないかと思います。

 

 

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