
SwarmAgentic:群知能で実現する完全自動のエージェントシステム生成
3つの要点
✔️ エージェントをゼロから自動生成し、機能と協調構造を同時に最適化するフレームワークを提案
✔️ Particle Swarm Optimizationを自然言語ベースに再構成し、構造変換を通じて反復的に改善
✔️ 実世界の6タスクで従来手法を上回り、特に構造の自由度が高い課題で高い汎用性を示した
SwarmAgentic: Towards Fully Automated Agentic System Generation via Swarm Intelligence
written by Yao Zhang, Chenyang Lin, Shijie Tang, Haokun Chen, Shijie Zhou, Yunpu Ma, Volker Tresp
(Submitted on 18 Jun 2025)
Comments: 41 pages
Subjects: Artificial Intelligence (cs.AI); Multiagent Systems (cs.MA)
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概要
近年、LLMによる自律的なエージェントシステムの構築が注目されていますが、従来の手法では、あらかじめ定義されたエージェントテンプレートに依存しており、柔軟性やスケーラビリティに課題がありました。
こうした背景のもと、本論文では「SwarmAgentic」という新しい枠組みを提案。この手法では、タスクの記述と目的関数のみを入力とし、構造化された自然言語の空間において、エージェントの生成、最適化、協調構造の改善を完全に自動化します。
特徴的なのは、群知能の一種であるParticle Swarm Optimization(PSO)を言語ベースで再構築し、構造化されたエージェントシステムを粒子として扱う点です。それぞれの粒子は、自然言語で記述されたエージェント構成と協調戦略を持ち、LLMを用いて反復的に改善されます。結果として、旅行計画や日程調整、創作タスクといった実世界の複雑なタスクにおいて、高いパフォーマンスを実現し、従来手法を大きく上回る成果を示しました。
提案手法
SwarmAgenticは、エージェントシステムを自然言語で構造化し、それを最適化対象とする全自動フレームワークです。基本単位は「粒子(particle)」であり、各粒子は一組のエージェント構成と協調ワークフローからなります。まず初期化段階では、LLMを用いて多様な粒子を生成。これには温度パラメータによって探索範囲が制御され、保守的な構成から革新的な構成までをカバーします。
最適化は、失敗に基づくフローベースのフィードバックを用いた「Failure-Aware Velocity Update」によって実現されます。この更新では、失敗から学び、自己のベスト(personal best)、群れ全体のベスト(global best)との比較から、構成を改善する方向を生成。これにより、粒子は役割定義や協調戦略を文レベルで再構成され、解の質を高めていくとのこと。
位置更新(Position Update)は、構造的な文変換により、実際のエージェント構成とワークフローを修正します。この一連の処理を通じて、SwarmAgenticは構成の適応性と解釈可能性を両立しながら、自律的に最適なエージェントシステムを生成することが可能に。
実験
SwarmAgenticの効果を検証するために、旅行計画(TravelPlanner)、日程調整(NaturalPlan)、創作(Creative Writing)、数学的推論(MGSM)といった6種類の現実的かつ構造的制約の少ないタスクに対して実験が行われました。ベースラインには、定番の直接プロンプト(Direct)やChain-of-Thought(CoT)、自己修正型のSelf-Refineに加え、EvoAgentやADASなど自動生成系の既存手法が含まれています。
結果として、SwarmAgenticはTravelPlannerタスクにおいてADAS比で+261.8%の改善を達成し、すべてのタスクにおいて最高精度を記録。特に創作タスクにおいては、粒子数や反復回数を増やすことで出力の一貫性とテーマ性が大幅に向上することも確認されています。
さらに、構成最適化の途中過程を可視化した分析では、QA専門家の導入や協調フローの調整によって成功率が段階的に向上する様子が示され、SwarmAgenticの逐次的かつ解釈可能な進化過程が実証されました。これらの結果は、テンプレートに頼らない完全自動のエージェント設計が、実タスクにおいても非常に有効であることを示唆しています。
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