日本初、無料で衛星データを使えるプラットフォーム「Tellus」とは

日本初、無料で衛星データを使えるプラットフォーム「Tellus」とは

ZOZO創業者の前澤さんによる月旅行や、ホリエモンこと堀江貴文さんによるロケットの打ち上げなどによって、ぼくたち民間人にも、少しずつ身近になってきた感じもする「宇宙」。

実はまだまだいろんなところで、宇宙とぼくたちの生活は結びついていました。
そのひとつが、「衛星データ」。
宇宙から取得したデータを地上へ還元することによって、ぼくたちの生活をより安全にまた、豊かにしてくれます。

そして今回取り上げる『Tellus(テルース)』とは、日本初、無料で衛星データを活用することができる衛星データプラットフォームです。

経済産業省とさくらインターネットによって、2019年の2月に立ち上げられました。
本記事では、さくらインターネットにて、クロスデータアライアンスプロジェクト シニアプロデューサーを務める山崎 秀人さんにインタビュー。Tellusの画期的な点や具体的な取り組み、そして先日リリースされたばかりの新機能など、山崎さんにたっぷりと語ってもらいました。


(山崎 秀人さん(右)。左は経営企画部 広報の森川 順子さん)

「Tellus」とは

Tellusとは、経済産業省による宇宙産業政策のひとつとして、さくらインターネットが運営を受託したプロジェクトです。日本では、1970年代くらいから衛星は打ち上げていて、国はデータをずっと持っていました。それがどうしてビジネスとしては使われなかったかというと、もちろん用途がなかったっていうのもあるんですけど、それ以上に使いづらかったんですよね。

仮に民間の人たちが衛星データを使いたいと思っても、どこにどう注文すればいいか分からないんです。あと仮に入手できたとしても、ビッグデータということもあって、ローカル環境では扱いづらくて。そこで我々さくらインターネットがクラウドベンダーである強みを生かして、全部の衛星データをクラウド上に並べて、一般の人たちにも使ってもらえるようにハードルを下げようというのが、このプロジェクトの根幹です。

Tellusの登録ユーザー数に関しては、いま(※2020年1月31日時点)で13,000人を超えています。13,000人っていうと、ウェブの世界では少ないようにも感じるんですけど、いま宇宙機器産業(※ロケットや人工衛星、宇宙ステーションなどの開発)に従事している人って、国内で10,000人もいないんですよ。

(参考:宇宙産業分野における人的基盤強化のための検討会 報告書

それくらい関わっている人が少ない分野での13,000人なので、それなりに希望が持てる数字ではあるかなと思います。あと年齢層についても、この業界の平均年齢って40歳を超えているんですけど、Tellusには10代〜30代の人たちもたくさん登録してくれていて。


(提供:さくらインターネット)

これはやっぱり、はじめて一般の人たちにも、無料で衛星データを公開したからだと思っています。ログインさえすれば、あとは他になにも特別なソフトやハードを用意しなくても、誰でもデータを扱うことができるので。「宇宙分野に新しい人たちを呼び込む」ことは、今回のプロジェクトのひとつの狙いだったので、その点に関してはいまのところうまくいってるかな思いますね。

「無料」をあなどることなかれ

次に、Tellusにアップされているデータについてなんですが、「分解能」という観点でお話すると、一番小さいものでは分解能が0.5mのデータがあります。0.5mっていうと、具体的には走っている車の形が分かったり、場合によっては車種を見分けられたりもできる精度です。


(提供:さくらインターネット)

いま、海外のものも含めて市場に出回っている衛星データで、最も精度の高いものは、分解能が0.3mくらいのものです。Tellusにあるデータは、それと比べるとすこし劣るんですけど、このレベルの衛星データを無料で使えるようにしているっていうのは、おそらく世界で我々だけだと思います。一般的に、同じような分解能の衛星データを買おうと思ったら、ワンショットで100万円以上はかかるはずです。

(参考:日本全域で0円~38.87億円!? 衛星画像・データの価格まとめと今後の展望

あと他の観点としては、衛星データだと「波長」による分析もできます。そうすることによって、標高だったり地表や海面の温度だったり、目には見えない情報まで扱えるようになるので、それも衛星データの特徴ですね。

そして、こういったTellusが公開している衛星データを、どんどんいろんな場面で有効的に使ってもらいたいということで、コンペも開催しています。たとえば最近行ったコンペのひとつとしては、海上保安庁と協力して「海氷領域を検出する」というものがありました。


(提供:さくらインターネット)

いま、海上保安庁の方たちが主にどうやって海氷マップを作っているかっていうと、海氷を確認する専門官が、実際に沿岸や船の上から目で直接確認して、それを紙にまとめてFAXで送るっていうやり方なんですよ。

それはそれで職人技としてすごいんですけど、どうしてもそれだと観測できる範囲が狭くなってしまうんですね。そこで、衛星データを使って正確に海氷マップを検出できるアルゴリズムを開発しようというのが、このコンペの目的でした。

コンペは2ヶ月間行って557名が参加、投稿されたアルゴリズムが2,000件超えです。優勝者には100万円、2位は60万円、3位は40万円の賞金を用意して世界中から募ったのですが、高性能なアルゴリズムがたくさんあって、非常にビックリしています。JAXAが10年20年かけて磨いてきた精度を、2ヶ月で超えてしまいました…笑

各領域のトッププレイヤーが集う最強のアライアンス

そして、Telluの利用をより進めるための枠組みとして、「xData Alliance(クロスデータ アライアンス)」というものもあります。


(提供:さくらインターネット)

ビジネス領域だと、たとえばPwCさんがいるのでより議論を深めることができますし、スタートアップ領域だと、mercariさんやABEJAさんなどとも、パートナーシップを組んでいて。あとは投資領域の会社さんにもたくさん入っていただいているので、実際に事業化するときの投資も受けやすくなるかなと思っています。

Tellusの次なる一手「Tellusマーケット」とは

そして、Tellusの次のステージとして、Tellus上で、データやアプリケーションなどの売買をできるようにしていきたいと思っています。そこで2020年の2月27日にリリースしたのが、「Tellusマーケット」です。Tellusマーケットは、広く一般の個人や法人がプロバイダの様々なツール(アルゴリズム、データ、アプリケーション)を安全に取引できるサービスを指しています。

ユーザーのみなさんは、様々なツールを日常生活で使うECサイトのようなUIで検索し、確認、購入することができるんです。マーケットで購入したものは、Tellusの開発環境やTellus操作環境(Tellus OS)で利用することができるようになります。

このマーケットプレイスは、Tellus自体の発起に近さを感じていて。というのもTellusは、民間の人たちが衛星データを使いたいと思っても、どこにどう注文すればいいか分からない、ビッグデータすぎてローカルでは取り扱いづらいという問題に対して作られたものだったので。あとこの状況は、逆にデータを提供できる企業が販売できずに、眠らせていたとも言えるので、すごくもったいない状況だったんですよね。


(真剣な眼差しで話に聴き入る、AI-SCHOLAR編集部)

マーケットプレイスは、こういった問題の解決場所になれると思っています。企業側からすると、持っているけども活用していないデータが存在するはずなんですね。他にもいろんな要因で、データやアルゴリズムが活用されていない場合があります。そういったデータやアルゴリズムを、Tellusを通して販売することで、これまでだと活用方法のなかったものでも、価値を見出すことができるようなるんです。

売られているデータは、Tellus上で使用可能な形になることで、ユーザーはローカル環境での取り扱いの問題も解消されます。そうすることで、活用してみたいデータやアルゴリズムを、入手するハードルが下がるかなと。せっかく作ったプラットフォームなので、いろんな方にこのTellusを使い倒してほしいですね。(了)

TellusのHPはコチラ。ぜひ一度、見てみてください!

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