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風力発電の効率が、AIの力で最大化する!?

風力発電の効率が、AIの力で最大化する!?

論文

『風力発電』は、安全かつ再生可能なエネルギーなため、近年、世界中で注目を集めているのをご存知でしょうか?

風力発電の歴史はかなり長く、ベースとなる風車は10世紀ごろにはすでに、イスラム圏で作られていたとされています。環境への配慮ができ、かつ永続的なエネルギー源である風力ですが、原子力などの大きな熱量を生み出せるエネルギー源と比べると電力供給の不安定さが問題視されています。

AIにより電力供給が大きく変わるかも?

そんな、風力発電の効率をAIの力で最大化できるのでは?という、今後の電力供給が大きく変わるかもしれない論文が、2018年春、”Renewable Energy”というエネルギー系技術雑誌に掲載されました。

風力発電の効率を最大化するため、最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Traking)という装置が非常に重要になります。 

MPPTとは、風力発電や太陽光発電の発電時に効率の高い出力を最大化する『電流×電圧』の値を自動で求めることができる装置のことです。そもそも風力発電は、効率よく電力を取り出せる回転数が風速によって異なっています。そこで、MPPTによって求めた値に対して回転数を制御し、より効率の高い回転数を導き出す事で風力発電の効率を最大化することができます。なに言ってるか、わからないですよね。

つまり一日の中で時間帯や天候の変化によって風量が変化するので、風力発電内に発生する電圧と電流の大きさが常に変化しています。その環境によって理論値との間に誤差が生じる問題を改善するために著者は、機械学習によってメタヒューリスティック的*1なデータを算出しました。その値をアントコロニー最適化*2(ACO:Ant Colony Optimization)という、効率を最大化するためのアルゴリズムにより、風力発電を最大化するために最適な、羽の速度制御パラメータの導出方法を提唱しました。ACOを採用した制御パラメータは、従来の方法で算出した速度制御パラメータよりも、良い結果が得られたことが分かったため、今後もこの方法で、風力発電を効率化するための研究を続けていくと述べています。

3.11以降、発電方法を見直す動きが非常に増えました。原子力による発電は、ほかの発電方法と比べ莫大なエネルギーを生み出すことが出来る一方、一歩間違えれば我々の生活を脅かす非常に恐ろしいものであることも分かりました。

そんな背景から、今回の論文を取り上げてみました。  

この結果から、さらにデータを精査し実用できるまでに発展させることができれば、風力発電の「電力供給に難がある」という欠点を無くし、クリーンで永久的な電力供給が期待できます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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YacineMokhtari&DjamilaRekioua (2018).High performance of Maximum Power Point Tracking Using Ant Colony algorithm in wind turbine.Renewable Energy.

*1メタヒューリスティック:難度の高い最適化問題を解くための経験的手法(ヒューリスティクス)を有機的に結合させたものであり,最近では,実務的な問題を楽に解くためのフレームワークとして,実務家の間でよく用いられる最適化アルゴリズムとなっています。

*2アントコロニー最適化:

 

ライター:株式会社wevnal AIChatbot事業部 木村駿

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