深層強化学習による滑らかで精密な人体3Dモデル再構成
人体の動きは、どこまで精密に再現できるでしょうか?人体の構造は非常に複雑で、筋肉だけでも600部位以上あるとされています。本稿では最近発表された、ソウル大学の研究による”人体構造のモデリングと深層強化学習を用いた制御システム”について紹介します。
参考論文 : 「Scalable Muscle-Actuated Human Simulation and Control」
人体のメカニズムと3D再構成の難しさ
人体の動きは、非常に複雑なものです。
例えば、筋肉の収縮運動は、筋繊維の力学的な活動部分と非活動部分から発生します。人間は、このよう筋肉の状態や骨の構造などを相互に作用させながら、体を動かしています。さらに人の体は、関節と、600以上の筋肉から構成されており、疲れや癖、感情など、その動きは人によりもよっても異なります。
本稿では、深層強化学習を用いて、骨格と筋肉を活性化し、典型的な動きから細やかな動きまでを3Dモデルによって再現することを提案しています。
3Dモデル再構成に当たっての技術的な課題として、正確かつ包括的な人体のモデリング、そしてその動きを制御するためのアルゴリズムの生成が難しいことでしょう。
過去の研究でも、深層強化学習を用いて歩く、走るなどの動作を再現することに成功していますが、これらの技術は、関節を実際に動かしているわけではなく、表面的に人体モデルを動かしているだけでした。また、これまでの研究ではモデルが学習できる筋肉はせいぜい18パーツ程度でした。実際の筋肉のように細かく、さらに関節を駆動させることにより人体を駆動させるモデルは未だ報告されていません。今回はこれを再現する3Dモデルを製作していきます。
滑らかで精密な人体3Dモデル
ここでは、筋肉の構造力学から得られる情報を基に、全身のモデルとその制御システムを作製し、実際の人体の動きを再現することを目的とします。人体の動きを再現するために、深層強化学習を用いて人体の特徴やその制御方法について再現可能かつ確かなシミュレーションを入念に行いました。このモデルを用いて、弱まった筋肉や、補装具をつけた部位など、身体的に負担のある人体の動きの予測も可能です。加えて、モデルの活用例として、外科手術の3 Dモデリングによるシュミレーションも行っています。
より詳細には、人体の動きを2段階層に分類し、それぞれに必要なアルゴリズムを搭載します。一つは、骨格の動き、もう一つは筋肉の動きです。この2段階層アルゴリズムにより、346個の筋肉による駆動を再現し、様々な動きを3Dモデルに行わせます。
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