高齢者の目を、AIが助ける時代に
AIにより早期発見が可能に
欧米での失明の原因第1位の『加齢黄斑変性』(AMD:Age-related Macular Degeneration)という病気をご存知でしょうか?日本人にはあまり馴染みのない病気だとは思いますが、日本でも失明の原因第4位になっている、実はかなり身近な病気なんです。
高齢者社会と言われている現在、AMDを発症する人が世界中で増えてきています。このAMDは、早期発見しなければ失明してしまう恐れがある病気なのですが、診断をくだすのに時間がかかったり、医師によって診察がまちまちという初期の発見が難しい病気なのです。
今回紹介する論文は、AMDの診断に世界で初めて深層学習を用いた論文です。この論文は、2018年春にコンピュータシステム系技術雑誌”Future Generation Computer Systems”に掲載されました。
著者は現在出稿されている論文の中で最も多くの眼底検査画像数をCAD*1に入力し、畳み込みニューラルネットワーク*2(CNN:Convolution Neural Network)を用いて診断画像を深層学習させました。それにより、従来よりも早く、正確にAMDにかかっているのか、現在どれくらい症状が進行しているのか、という診断に成功したという報告をしています。この方法を確立すれば現在、目の病気を診断するときに使われているOCT(Optical Coherence Tomography)という大きく、高価なデバイスを設置することなくAMDの診断が可能なため、発展途上国などの設置が困難な場所で、特に重要な役割を果たすとされています。
今回は画像の深層学習について書かれている論文をご紹介いたしました。
CNNについては、ざっくり言ってしまうと画像の特徴を発見するために、検証するための画像に特徴を探すフィルタをあて、人間の目ではわからないような画像の違いを読み取り、分類わけするという画像認識において非常に重要な単語です。もっと詳しく知りたい方は注釈、またはGoogleで調べてみてください。
本論文では、CNNの深層学習のためにはかなりの時間を有するため、さらに精度を上げるにはまだ時間がかかるとも報告されていました。しかし、一度深層学習が完了すれば、100%に近い精度でAMDの診断をすることができるでしょう。AIを使うと、このような医療分野まで発展させることが出来るのです。
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ライター:株式会社wevnal AIChatbot事業部 木村駿
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