ユーザーの好みにマッチした服の画像を生成するGAN。欲しい服はAIが作ってくれる?

AIがユーザーの購買データを分析し、ユーザーの好みにマッチしたデザインの服の画像を生成するというシステムが提案されています。近年「オーダーメイド」服が、今、若者を中心に新たな注目を集めていますが、ECサイトにまるで自分の好みを知っているかのようなどストライクなデザインの服を表示させるなんてことも可能になるかもしれません。

論文:Visually-Aware Fashion Recommendation and Design with Generative Image Models

欲しい服はAIが作ってくれる?

ECサイトを開くとポップアップが出現し「あなたが欲しい服はこちらでしょうか?」 そこにはECサイトがまるで自分の好みを知っているかのよデザインの服が表示されています。

レコメンドシステムの目的は、大量の過去のフィードバックに基づいて、このように、ユーザーにパーソナライズされた提案を薦めることです。ユーザーの嗜好や消費するアイテムの経歴、または嗜好の類似した他のユーザの情報に基き、クリックされる、購入される、など高い評価が与えられる可能性が高いアイテムを識別(またはランク付け)し、ユーザが気に入りそうなアイテムを推薦してくれます。

提案された論文は、これらレコメンドシステムを発展させた、AIがユーザーの購買データを分析し、ユーザーの好みにマッチしたデザインの服の画像を生成するというものです。

レコメンド機能に加えて、ユーザーの好みにマッチした画像を生成するため画像生成モデルであるGANと組み合わせています。AIがECサイト上の購買データからユーザーの好みの服の特徴量(特徴をデータ化したもの)を抽出し、特徴量に基づきユーザー好みのデザインの服の画像を瞬時に生成します。特定のユーザーとカテゴリがモデルに与えられた場合、ユーザーの嗜好と最も整合性のある新しいアイテム(のイメージ)を生成してくれます 。

このアイデアは、潜在的なファッションアイテムを探索したり、既存のアイテムの変更を提案したり、特定のユーザーに合わせたアイテムを生成したりなど、既存のアイテムをレコメンドするだけでなく、新しいアイテムのデザインにも役立ちます。ECサイトにまるで自分の好みを知っているかのようなどストライクなデザインの服を表示させるなんてことも技術的には可能です。

モデル

ビジュアルに基づいたレコメンドのためのコンポーネント(基本的にはシャムCNNとBPRの組み合わせ)と、敵対的生成ネットワーク(GAN)に基づく画像生成のためのコンポーネントの2つを組み合わせることにより、提案(検索)と合成の両方を実行できるシステムを構想しています。

1つ目は、視覚的にパーソナライズされた推薦システムです。これは従来のレコメンド機能に活用されているアルゴリズムを拡張したもので、Amazonの6つのカテゴリー(男女の靴、トップス、パンツ)における購買データを基にユーザーの好みのスタイルの特徴量を抽出します。パーソナライズされた、可能性が高い購入のランキングを生成できます。

次に、学習したシステムをGANと組み合わせます。ここでは、Activation Maximization(活性化最大化)と呼ばれる方法を使用し、ユーザーの評価を最大化させるアイテムを生成します。この方法はニューラルネットワークにおいて標的のニューロンを活性化する画像を生成するための勾配に基づくアプローチです。ネットワークが学習したことを可視化するために広く使われていますが、最近では画像を合成するためにも使われています。これを利用し価値を最大化するアイテム画像を生成する低次元の潜在コードを繰り返し見つけます。

結果

データセット内の3つの画像を使用した、GANによって生成された上位3つの画像です。実画像が左(a)で、合成画像が右(b)です。表示されている値は、各画像の(個人化された)嗜好スコアです。生成された画像は元画像のものとは異なりますが同じ類似のスタイルに属しているように見え、既存のアイテムを少し修正して、ユーザーの好みにより近づけていることが分かります。また、最適化プロセスを得て生成された画像は、元の画像よりも嗜好度が高くなっています。

以下の図は、所与のTシャツ/ズボンのペアイメージ(a)が与えられた場合の6人のユーザに対する異なる最適化プロセスの結果が示されています。列(b0)から(b50)は、GANで最適化した連続反復後のイメージを示しています。各画像の優先度は、画像の下に表示されています。

このフレームワークは、様々なレコメンデーションシナリオで使用することができ、ファッションアイテムを探索したり、既存のアイテムを修正したり、個人に合わせたアイテムを生成したりすることができます。
さらに、きめの細かいスタイル制御は、同じアイデアをファッション画像以外のビジュアルデータ、または非ビジュアル形式のコンテンツでも扱うことができます。

今後、こういった技術が今後の小売業やアパレルのあり方に大きく影響を与えるのではないでしょうか?

例えば、これまで高級、高価格というイメージの強かった「オーダーメイド」服が、今、若者を中心に新たな注目を集めています。手ごろな価格でのオーダーメイドが広がり、ネット上で注文を受け付ける店舗やサイトが続々登場しています。

技術の進歩により、オーダーメードの洋服がより簡単に手に入るかもしれません。ユーザー好みの「売れる」確率が高いデザインの服の画像を生成し、それを広告表示したりレコメンドしたりして、オーダーが入った分だけ生産するというシナリオです。

もちろん、このシステムはまだ商業化にはまだ遠い状態ですが、将来のECサイトではこのような光景が当たり前になるのかもしれません。