網膜画像から心血管疾患のリスクまで予測するAIが登場。医療業界を更にアップデート

網膜画像から心血管疾患のリスクまで予測するAIが登場。医療業界を更にアップデート

オンラインジャーナルのNature Biomedical Engineeringにて「網膜眼底写真による心血管リスク因子の予測」(“Prediction of Cardiovascular Risk Factors from Retinal Fundus Photographs via Deep Learning,”)が発表されました。論文では、網膜画像から深層学習で目の病気リスクの識別だけでなく、他の多くの健康問題を発見するかもしれないことが示唆されており、興味深い発見となっております。

心臓発作、脳卒中、不整脈およびその他の心血管疾患は、相変わらず死亡原因のトップを占めております。
これらを誘発するリスクを低減する事は、患者が将来心血管疾患に遭う可能性を低減するための重要な第一歩で、医師は、いくつかの遺伝的要因(年齢や性別など)、生活習慣の要素(食生活、喫煙や血圧など)などのさまざまな要因を考慮して診断します。

これらの要因のほとんどは患者に尋ねるだけで得られますが、心血管疾患リスクとして高い糖尿病やコレステロールのような他の要因を突き止めるには、さらに血液採取の必要があります

糖尿病網膜症を診断する人工知能が登場

ネイチャーバイオメディカルエンジニアリング(Nature Biomedical Engineering)に掲載された「網膜眼底写真による心血管リスク因子の予測」では、糖尿病患者の網膜画像データを深層学習で解析し、目の病気の検出に加えて、その他の健康リスクを非常に正確に予測できる可能性を示しています。

深層学習を用いた解析プログラムをインストールしたクラウドサーバーに、撮影した網膜の画像データをアップロードすると軽度以上の糖尿病網膜症が検出される仕組みです。

糖尿病性網膜症は糖尿病患者がかかりやすい病気で、症状が進行すれば失明に至る恐れもありますが、定期的な眼底診断などで早期発見できれば、そこから適切な医療措置を施すことにより症状の進行を止めることができます。このAIによる自動診断システムは、疾患の早期発見、治療、失明予防など、様々な健康問題の改善に貢献してくれるでしょう。

網膜画像から因子を高精度で予測

284,335人分の患者のデータを訓練した深層学習アルゴリズムは、12,026人と999人の患者の2つの独立したデータセットの患者に対して、網膜画像から因子を驚くほど高精度に予測しました。

人間の医師であれは通常、重度の高血圧患者および正常な患者の網膜画像は区別することができますが、このアルゴリズムは高血圧の有無にかかわらず、平均で11mmHg以内の収縮期血圧を予測ができます。また、喫煙者の網膜画像を非喫煙者の網膜画像と71%の確率で区別することも可能だとのこと。

心血管疾患も約70 %の確率で的中

さらに、上記のように網膜画像から様々な危険因子(年齢、性別、喫煙、血圧など)を予測するだけではなく、心血管疾患のリスクを直接予測する際にかなり役立ち、実際に、心臓発作または脳卒中のリスクとの間の関連性を定量化するために使用されました。

この深層学習アルゴリズムは心臓発作のような主要な心血管疾患経験した1人の患者(最大5年)の網膜像と、そうでない他の患者の画像を比較すると、心血管疾患を約70 %の確率で当てることができました。この性能は、コレステロールを測定するための血液採取の結果に精度が近づきつつある事を示しています。

アルゴリズムが「ブラックボックス」の中身を可視化

もっと重要なのは、注目技術を使って「ブラックボックス」の中身を可視化したことです。

この深層学習アルゴリズムがその予測をどのようにして行っているかを見ていくと、特定の心血管疾患を予測するためにどのピクセルが最も重要であるかを示すヒートマップを生成することに成功したようです。

例えば、上の画像で示すように、アルゴリズムは、血圧に関する予測を行うために血管にもっと注意を払う傾向が見られました。

この深層学習アルゴリズムがその予測をどのようにして行っているのかを調べることで「ブラックボックス」の中身が解明され、医師は診断自体に自信を持てるようになります。

▶︎仮説の生成に役立つ可能性も

これらの発見は、科学的調査の仮説を生成するのに役立つ可能性があります。医学的発見は、観察からの推測を行い、実験を設計し、実行しますが、医用画像では、実際の画像に存在する多種多様な特徴、パターン、色、値、形状が存在するため、関連を観察して定量化することは困難でした。本研究のアプローチにより、科学者がよりターゲットを絞った仮説を生成することで、将来の幅広い研究を推進するのに役立ちそうです。

まだまだ医療業界へのテクノロジーの介入の波は続きそうで、一番ディスラプトされる業界と思っているので、引き続き注目していきたいと思います。


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