株価チャートを画像データとして学習させる深層学習による株式市場の予測

本稿では、深層学習を用いた株価の予測に関する論文を紹介しています。これまで多くの視点から分析が試みられてきた株式市場ですが、”ローソク足”を画像データとして学習させる新手法を著者は提案しています。

参考論文

「Using Deep Learning Neural Networks and Candlestick Chart Representation to Predict Stock  Market」

株式市場の予測は、全人類の夢の一つです。正確な予測ができれば、無限とも言えるお金を手に入れる事ができるでしょう。ただし、そのランダム性はリーマンショックをはじめとして、現在の人類の予測の範囲を超えて変動する事が周知の事実と言えます。

また、株価は様々な要素によって変動します。”景気”や”金利”、”政治的動向”などその要因は多岐に渡ります。本稿では、深層学習を用いて”ローソク足”に焦点を当てた研究について紹介していきます。

 

1.ローソク足とは?

pic1. ローソク足の画像 (引用元 : FXブロードネット)

日本人によって考案された株価の1日の動きを表す指標を通称 “ローソク足 (参照 : pic1.)”と呼びます。

始値 (1日の始まりの株価)、終値(1日の終わりの株価)、高値(1日の株価の最高値)、安値(1日の株価の最低値)の4つの要素を、1本のローソク足から読み取る事ができます。

また、1日の変動で、株価が上がれば陽線 (pic1. : 青色)、下がれば陰線 (pic1. : 赤色)となり、色で区分けされています。

これまでは、テクニカル分析(株式のデータから株価の変動予測する手法)の指標として幅広く用いられてきました。

もちろん、ニューラルネットワークを用いた予測に関しても似たようなものは多々あります。ただし、本稿の研究は、これまでの”株の売買情報”や”ニュース”などに焦点を当てた予測とは異なり、”ローソク足”を分析対象とした予測を行い、作成したモデルを用いて他株式の予測を試みています。

本稿では、ローソク足の色分けを利用し、画像データとして”深層学習”を用いて予測を試みる新しい手法を紹介しています。

2. ローソク足を画像データとして捉える

株式価格の予測は市場の様々な環境や状況から影響を受けるため、非常に困難な課題の一つです。本稿では、株式市場のデータをローソク足の画像へと変換を行い、それらローソク足の画像データを訓練データとして、CNNを用いて深層学習を行っています。ローソク足は色によって示されるので、画像解析により識別する事ができ、学習させたモデルを用いて直近の株価が上昇or下降の2値に分類して予測する事が可能です。

ローソク足を画像として解析するこの手法は、株式市場の未来予測の精度をより高めると考えられています。

3.提案手法

[表1] 訓練データ、学習データ、独立データの取得期間

台湾50社、インドネシア10社をそれぞれ株式の成長度合い上位から選び、それらをロウソク足に変換しいくつかのモデルに学習させて予測を行っています。学習全体の模式図は以下のようになります。

はじめに、過去の株価データをYahoo!Finance APIから取得し、これらの時系列データを一般的なコンピュータグラフィック手法を用いてローソク足の画像に変換します。次に、”スライディングウィンドウ方式(sliding window technique)”という、ある決まった小領域をピクセルごとに移動させながら特定の領域を抽出する物体検出技術の一つを用いてロウソク足の画像の色から、画像内の陽線と陰線を判別しつつ、予測に必要な画像データを取得していきます。

上記のような一定期間のローソク足の画像を多数集め、これを元に陽線(赤)と陰線(緑)の割合を分析したものを学習データとして使用します。この画像データから得られた学習データをランダムフォレストとk近傍法, Res Net,VGG Net,CNNモデル,の5つに学習させ、それぞれ予測を行い最適なモデルを選択していきます。これにより、指定した一定期間の株価を上昇or下降の2値に分類して予測する事が可能になります。

4.結果

台湾50社から得られた株価の学習データを用いて訓練データを予測したものについて、精度が最も高かったものはCNNモデルによる90%でした。また、インドネシア10社から得られた株価のデータについても、CNNモデルが最も高い精度で91.5%でした。この結果から、CNNモデルが最適な学習モデルとして採用できます。

CNNモデルを使って、Samsung,Apple,GEの3社の直近の株価を予測し、精度[%]を算出したものが以下の表にまとめてあります。

いずれも3ヶ月間の運用を行えば、90%以上の精度で株価の上昇or下降を予測する事ができています。

また、運用期間が長ければ長いほど、より正確な予測が行える事が分かります。

5.今後の展望

この研究では、台湾とインドネシアから合わせて60社のデータを元に株式市場を予測しています。大まかな流れとして、はじめに必要なデータを作成し、次にそれらデータを深層学習させました。将来的には、長い期間の株式市場を学習させたモデルにより、深層学習によって株式市場の隠されたパターンを発見し、その後の変化を予測する事が可能であることがこの研究から見えてきました。今後は、これら研究を活かして、さらに高い予測率を出すことや、多くの人により簡易に扱えることが望まれます。今回作成されたモデル”Deep Cnadle”は近い将来、「ユーザーが目標日を設定するだけで、その時点の株価が予測できるようになる」事が期待されています。

現在、実際にこの”Deep Cnadle”は以下のサイトからアクセスできます。

Deep Candle :  http: //140.138.155.216/deepcandle/